概要
この記事では高圧ガス製造保安責任者試験の法令分野の概要や傾向について解説します。
検定試験とは毛色が異なり、"高圧ガス保安法"という高圧ガスの扱いに関する法律の内容となります。
ある意味で高圧ガス保安法は今までに発生した重大な事故の積み重ねと言っていいかもしれません。過去に悲惨な事故が発生したからこそ、その事故を防ぐための法律ができるわけです。
"なぜこんな面倒くさい法律がたくさんあるんだ"と考えてしまうのではなく、"より安全に事業を行なうために必要なもの"という認識で試験に臨みたいところです。
法令の合格率
法令は毎年11月の国家試験で受験する必要があります。5月の検定試験で学識と保安管理技術に合格していれば、11月の国家試験では法令のみに専念して勉強できます。
国家試験で学識、保安管理技術、法令の3科目を受験して合格するのはかなり難易度が高いため、なるべく検定試験を受けることをオススメします。
例年の国家試験の合格率は、
- 全科目受験:合格率20%前後
- 検定試験合格で学識・保安管理技術免除:合格率70~90%
となっています。合格率がかなり違いますね。
とは言っても検定試験は追加でお金がかかりますし、まとめて国家試験で受けたくなる気持ちもわかります。9,10月にがっつり時間の取れる人は全科目受験を狙いにいっていいかもしれません。オススメはしませんが。
ちなみに甲種機械の検定試験の解説は以下の記事で行なっています。
【気体の熱力学】高圧ガス甲種機械:検定試験の出題分野を解説
この記事では高圧ガス甲種機械の出題分野である、気体の熱力学について解説します。
気体の熱力学は毎年春(5月頃)に実施される検定試験、11月の国家試験の両方に出題されており、重要な分野です。続きを見る
【流体の流れ】高圧ガス甲種機械:検定試験の出題分野を解説
この記事では高圧ガス甲種機械の出題分野である、流体の流れについて解説します。他の大問と比較して、流体の流れは簡単なので確実に点を取りたいところです。
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【材料力学】高圧ガス甲種機械:検定試験の出題分野を解説
この記事では高圧ガス甲種機械の出題分野である、材料力学について解説します。化学工学専攻の人は、大学で材料力学を習うことはほとんどなく、会社の実務でも自分で計算することはないため難しく感じる分野だと思います。
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【材料特性・材料劣化】高圧ガス甲種機械:検定試験の出題分野を解説
この記事では高圧ガス甲種機械の出題分野である、材料特性・材料劣化について解説します。材料特性・材料劣化は学識と保安管理技術の2科目で出題される可能性があるため、重点的に勉強したい分野です。
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【圧縮機・ポンプ】高圧ガス甲種機械:検定試験の出題分野を解説
この記事では高圧ガス甲種機械の出題分野である、圧縮機・ポンプについて解説します。検定試験と国家試験ともに計算問題で出題されており、他の分野と比較して難易度が高めです。
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【保安管理技術】高圧ガス甲種機械:検定試験の出題分野を解説
この記事では高圧ガス甲種機械の出題分野である、保安管理技術について解説します。出題範囲が広いため、勉強をしていないと馴染みのない分野は全くわからないという状態になります。
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法令の出題
法令の合格ライン
法令は毎年20問出題されます。6割以上(20問中12問以上)取れれば合格です。
1つの問題につき、イ、ロ、ハの3つの文章が出題されます。5択でイ、ロ、ハの回答の組み合わせが与えられ、そのうち正しいものを選びます。
5択なので消去法だけで正解を絞り切るのは難しく、きちんと勉強していないと合格するのは難しいでしょう。
また、問題文は紛らわしいものが多いです。9割の文言が正しいのに残り1割が間違っている、あるいはたった1単語だけ間違っているが故に誤りとなる問題もあります。
ある程度勉強を進めて慣れてくると、問題のパターンがわかってきて問題文を読み飛ばしがちなので注意しましょう。本番の試験では時間はたくさんあるのでゆっくり読んでも大丈夫なはずです。
高圧ガス保安法の構成
法令では基本的に高圧ガス保安法の中から出題されます。
高圧ガス保安法の主要な構成は、
- 高圧ガス保安法
- 一般高圧ガス保安規則
- 液化石油ガス保安規則
- コンビナート等保安規則
- 容器保安規則
となっています(試験に出やすい規則をピックアップしています)。
高圧ガス保安法の中にさらに厳しい規制が存在する構成です。
広義の意味では上の4つの規則は全て高圧ガス保安法に含まれます。
ただ当ブログでは出題内容のカテゴリ上、各規則に含まれる内容は各規則からの出題とし、どの規則にも含まれない内容は高圧ガス保安法からの出題と定義しています。ご容赦ください。
各分野の出題内容については以下の記事で紹介しています。
【高圧ガス法令】高圧ガス保安法の出題内容を解説
この記事では高圧ガス製造保安責任者試験の法令分野のうち、高圧ガス保安法から出題される内容について解説します。法令は毎年11月の国家試験で受験する必要があります。5月の検定試験で学識と保安管理技術に合格していれば、11月の国家試験では法令のみに専念して勉強できます。
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【高圧ガス法令】容器保安規則の出題内容を解説
この記事では高圧ガス製造保安責任者試験の法令分野のうち、容器保安規則から出題される内容について解説します。他の分野に比べると出題内容が絞れるので勉強しやすく、点の取りやすい分野だと思います。
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【高圧ガス法令】液化石油ガス保安規則の出題内容を解説
この記事では高圧ガス製造保安責任者試験の法令分野のうち、液化石油ガス保安規則(以下、液石則)から出題される内容について解説します。出題数は少ないですが、出題範囲も狭く勉強しやすい分野です。
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【高圧ガス法令】コンビナート等保安規則の出題内容を解説
試験の法令分野のうち、コンビナート等保安規則(以下、コンビ則)から出題される内容について解説します。コンビ則だけではなく高圧ガス保安法全体での複合問題が多く、他の出題分野より難易度は高めでしょう。
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【高圧ガス法令】一般高圧ガス保安規則の出題内容を解説
この記事では高圧ガス製造保安責任者試験の法令分野のうち、一般高圧ガス保安規則から出題される内容について解説します。一般則だけではなく高圧ガス保安法全体での複合問題が多く、他の出題分野より難易度は高めでしょう。
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法令の出題内訳
近年の出題内容の内訳は、
出題分野 | 出題数 |
高圧ガス保安法 | 3~5 |
容器保安規則 | 2 |
液化石油ガス保安規則 | 1 |
コンビナート等保安規則 | 5~6 |
一般高圧ガス保安規則 | 7~8 |
合計 | 20 |
上の表となっています。
出題分野には大きな偏りがあります。一般高圧ガス保安規則、コンビナート等保安規則が最も出題数が多いです。
ただ、これらの規則の問題は様々な規則から複合的に出題されることが多く、純粋にその規則の知識のみが問われるわけではありません。
その一方で、出題数の少ない容器保安規則、液化石油ガス保安規則はその規則のみの知識が問われることが多いです。出題数は少ないですが勉強範囲を絞りやすく点を取りやすい分野だと言えます。
法令の勉強期間・勉強方法
私が実際に勉強した感覚だと、法令のみを受講するなら1ヵ月前から毎日1~2時間ほど時間を取れれば十分だと思います。
私の住んでいる県ではおよそ1ヵ月前に有料の講習会を実施し、試験に出やすいポイントを教えてくれます。この講習会の冊子と過去問を繰り返し解けば6割くらいは取れるようになります。
やってはいけない勉強法は法令の文言を丸暗記しようとすることです。法令は堅苦しい表現でわかりにくく誤解のないように長々と書いてあり、このような文言を一字一句覚えるのは至難の業です。
各法令にはキーワードや問われやすいポイントがありますので、そこを見極めて勉強しましょう。上で示した当ブログの記事でもいくつか紹介しています。
まとめ
高圧ガス製造保安責任者試験の法令の概要と出題範囲を解説しました。
5月の検定試験を合格していると11月は法令の1科目となり楽です。それでも1ヵ月くらいは真面目に勉強しましょう。