公害防止 資格

【大気有害物質特論】公害防止管理者の出題分野を過去10年分の傾向から解説

2021年3月6日

概要

公害防止管理者大気1種に合格したブログ管理人が、過去10年分の出題傾向から頻出分野を紹介するシリーズです。

やみくもに参考書を読んだり過去問を周回するよりは、最初にある程度出題傾向や頻度を把握した方が効果的です。

出題分野ごとに傾向を解説していますので、資格勉強の方針を決める参考になればと思います。

この記事では大気有害物質特論についてまとめています。

出題分野

大気有害物質特論での全体の出題分野を以下の表に示します。

出題分野問題数
有害物質の発生過程1~2
有害物質処理方式3~4
特定物質の事故時の措置1~2
有害物質の測定3
合計10

全ての分野からまんべんなく出題されています。年によっては各分野の出題数が1~2問変わることもあります。

R2の各分野の出題数は

有害物質の発生過程:2問
有害物質処理方式:3問
特定物質の事故時の措置:2問
有害物質の測定:3問

となっています。

他の科目と比較すると、出題される分野・傾向が読みやすく勉強しやすい科目です。

10問中6問取れば合格です。
全ての分野をきっちり勉強するのが理想ですが、出題頻度を考えると割に合わない分野もあります。

資格勉強にあまり時間を割けない人は、点を取りやすい分野に絞って勉強するのがよいでしょう。

有害物質の発生過程

カドミウム、鉛、ふっ素系化合物、塩素系化合物の4つの分野から毎年2問ほど出題されています。
4つの分野に出題の偏りはなく、全ての分野をまんべんなく勉強する必要があります。

完全な暗記分野で純粋な勉強量が問われますが、ある程度出題されやすいポイントがあります。

カドミウム及びその化合物

カドミウム及びその化合物の特徴や発生源が出題されています。

参考書には1~2ページでカドミウムの特徴について記載されていますが、どこからでも出題される可能性があります。

カドミウムスポンジやカドミウムイエローといったキーワードは特に出題されやすいので覚えておきましょう。

下の表にカドミウムやその化合物の特徴についてまとめました。

外観白色の光沢のある金属
融点
沸点
320.9℃:鉛の融点に近い
767℃:鉛の沸点よりかなり低い
主な化合物酸化カドミウム、硫化カドミウム、塩化カドミウム
シアン化カドミウム、硫酸カドミウム
含有鉱物亜鉛鉱(閃亜鉛鉱)に硫化カドミウムとして
多く含まれている。
銅鉱、鉛鉱に少量含まれている。
発生源亜鉛等の製錬に用いる焙焼炉、焼結炉
溶鉱炉、転炉、溶解炉、乾燥炉
濃縮方法亜鉛の製錬過程で発生するダスト・フュームを硫酸化焙焼
した後に硫酸又は水により浸出させる。
浸出液を亜鉛で置換抽出してカドミウムスポンジとし、
湿式法または乾式法で高純度のカドミウムを得る。
化合物の特徴カドミウムイエロー(硫化カドミウム):
美しい黄色の顔料として重用されている。

鉛及びその化合物

鉛及びその化合物の特徴や発生源が出題されています。

リサージやクリスタルガラスなどの化合物が鉛の化合物であることは覚えておきましょう。
製品と製造工程で発生する有害物質の組み合わせを問われることがあります。

下の表に鉛やその化合物の特徴についてまとめました。

外観鉛色をした金属
融点
沸点
327℃:カドミウムの融点に近い
1750℃:カドミウムの沸点よりかなり高い
主な化合物無機鉛:酸化鉛、鉛塩類
有機鉛:テトラエチル鉛、ステアリン酸鉛
含有鉱物方鉛鉱、白鉛鉱、硫酸鉛鉱
発生源鉛製錬の焼結炉、溶鉱炉から60~70%の
酸化鉛が含まれている。
濃縮方法溶鉱炉法、電気炉法で粗鉛を得る。
粗鉛の純度は95~97%で、不純物として
金・銀・ビスマス等を含んでいる。
精製工程で鉛の純度を高めつつ金・銀等を
回収するが、この工程で鉛が揮散する。
化合物の特徴リサージ(PbO):
黄色又はだいだい色の重い粉末で、耐熱塗料、蛍光灯
などの放射線防止、陶器、ほうろうの釉に用いられる。

黄鉛(PbCrO4):
だいだい色に近い黄色、黄色、緑色に近い黄色で、
印刷インク、プラスチックの着色など広い用途がある。

鉛丹(Pb3O4):
赤色の重い粉末で、さび止め塗料、蛍光灯、テレビの
ブラウン管の放射線防止剤として使用されている。

クリスタルガラス:
陶磁器の釉として用いられる。
製造工程の排ガスに鉛が含まれる。

ふっ素、ふっ化水素及びふっ化けい素

ふっ素及びその化合物の特徴や発生源が出題されています。

特に同じ気体である塩素との比較やふっ素化合物の発生源を問われることが多いです。

下の表にふっ素やその化合物の特徴についてまとめました。

外観淡黄色の極めて刺激性の強い有毒気体
融点
沸点
-218.6℃
-188℃
主な化合物ふっ化水素(水溶液はふっ化水素酸)
四ふっ化けい素
ヘキサフルオロけい酸
含有鉱物りん鉱石
ふっ素化合物の
発生源
アルミニウム製錬用電解炉
りん酸又はりん酸質肥料製造装置
粘度瓦、れんがの焼成炉
ガラス製品の製造工程
化合物の特徴ふっ化水素:
常温で無色の発煙性の気体であり、沸点は19.4℃と
高く液化しやすい。
極めて水に溶けやすく弱酸であるが、多くの金属を
溶解する。特に二酸化けい素やけい酸化合物を
溶かす性質がある。

四ふっ化けい素:
常温で無色刺激臭のある気体で、加水分解して
にかわ状のけい酸とヘキサフルオロけい酸になる。

塩素及び塩化水素

塩素及びその化合物の特徴や発生源が出題されています。

塩素から製造される化合物と塩化水素から製造される化合物を問われることがあります。
非常に紛らわしく覚えるのが難しかったです。自分が最後まで覚えきれなかった分野の1つです。

化学反応のメカニズムに詳しい人なら簡単に覚えられるのかもしれません。

下の表に塩素やその化合物の特徴についてまとめました。

外観常温で黄緑色の刺激臭のある有毒気体
融点
沸点
-114.2℃
-85℃
主な化合物塩化水素(水溶液は塩酸)
無機塩素化合物:塩化鉄(Ⅲ)、塩化銅(Ⅱ)など
有機塩素化合物:塩化ビニル、クロロプレン、クロロホルムなど
塩素化合物の
製造方法と発生源
食塩の電気分解(塩素)
水素と塩素の直接合成(塩化水素)
活性炭の製造で副生(塩化水素)
炭化水素の塩素化で副生(塩化水素)
化合物の特徴塩素化合物は多数あるため、詳しくは参考書を
参照のこと。

有害物質処理方式

近年ではガス吸収、ガス吸着、ふっ素系の処理、塩素系の処理から3~4問出題されています。

傾向としてはガス吸収の理論、ガス吸収装置、ガス吸着理論から1問ずつ出題されることが多く、残り1問はふっ素系か塩素系のどちらかが出題されています。

少なくともガス吸収とガス吸着はしっかり勉強しておきたいところです。

ガス吸収理論

ガス吸収の特徴や、ガス吸収理論が出題されています。

出題範囲が比較的広く、一から覚えようとすると苦労するかもしれません。
自分の場合、ガス吸収は実務で扱うため、あまり勉強する必要なかった分野です。

ガス吸収の一般的な長所と短所を下の表にまとめました。

長所処理コストが低廉である。
集じん、ガスの冷却などの他の操作を
兼ねることができる。
短所廃水処理施設の設置が必要になる
場合がある。
ガスの増湿を伴うので、排煙の
拡散が阻害される。
ガスの吸収液の腐食性が
問題になる場合がある。

また、過去に出題されたことのあるHenryの法則と二重境膜説について別途記事にしています。

【Henryの法則】を解説:難溶性ガスの分圧と液中濃度の関係式

続きを見る

【二重境膜説】を解説:ガス吸収の基礎理論

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ガス吸収装置

ガス吸収装置の特徴について出題されています。

個別のガス吸収装置について詳しく問われることもあれば、大雑把に特徴を問われることもあります。

また、圧力損失が最も小さい装置はどれか、という問題は出題頻度が高いです。
スプレー塔が選択肢にあれば、スプレー塔が最も圧力損失が小さくなることは覚えておきましょう。

  特徴
液分散形充填塔表面積の大きな充填物を詰めた塔内に液を上部から
流し、ガスと向流に接触させる。
構造が簡単でガスの圧力損失が小さい。
 スプレー塔ガス中に液を多数の微細な液滴として噴霧する。
ガスの圧力損失が極めて小さいが、偏流を
生じやすい。
 サイクロン
スクラバー
円筒状の塔内を旋回上昇するガスと、塔中心の
垂直管の多数の噴霧孔から噴霧される液滴とを
接触させる。
サイクロン径が大きくなると効率は低下する。
 ベンチュリ
スクラバー
スロート部周辺から管内を流れるガス中に液を
噴霧する。
液ガス比は小さくできるが、圧力損失は
大きくなる。
 濡れ壁塔垂直円管の内壁に沿って液を液膜状に流し、管中心部を
上昇するガスと接触させる。
吸収熱の大きな系に効果的である。
 十字流接触装置傾斜させて配置した網に吸収液を流下させて液膜を
作り、ガスを十字に横切らせて気液接触させる。
段塔よりガス空塔速度を大きくとれる。
ガス分散形段塔塔内に多数の棚段を設置し、その段上で気液接触
させる。
吸収液の使用量を小さくできるが、ガスの圧力損失が
大きい。
 気泡塔ガスを塔内の液中に吹き込んで接触させる。
液側容量係数が大きく、液側抵抗が支配的な場合に
適する。
 漏れ棚塔多孔板塔の一種で、開孔率が大きく越流管がなく、
液とガスは開孔部で向流接触する。
空塔速度を大きくできるが、圧力損失が
大きい。

ガス吸着理論

ガス吸着の理論について出題されています。
ほぼ毎年1問出題されているため、押さえておきたい分野です。

特にラングミュアーの式は頻出なので覚えておきましょう。

$$q=\frac{q_{∞}Kp}{1+Kp}$$

q:吸着量、p:平衡なガス分圧
q∞:吸着剤中に存在する吸着座の数、K:平衡定数

ふっ素系の処理

ふっ素系化合物の処理方法について出題されています。

出題されるとしたらふっ素系か塩素系のどちらかなので、出題頻度はガス吸収や吸着に比べると低めです。

過去問の出題内容を覚えておくくらいでよいと思います。

塩素系の処理

塩素系、特に塩化水素の処理方法について出題されています。

塩化水素の特徴については一般常識的に知っていることも多く、特別に勉強する必要はないかもしれません。
あまり時間をかけて勉強する分野ではないです。

特定物質の事故時の措置

特定物質の特徴や漏洩時の措置について出題されています。
毎年1~2問出題されています。

もともと化学系出身の人なら勉強なしでもいけるかもしれませんが、機械系の人はそれなりに勉強する必要があります。

物質の性状が問われるパターンと事故時の措置が問われるパターンがあります。

各物質の性状

特定物質(28種類)のうちどれかの特徴が問題文で出題され、該当する物質を選択肢から選ぶ問題が出題されています。

アンモニアのようなメジャーな物質が出題されれば簡単なのですが、マイナーな物質だと難しいです。
特徴を正確に覚えていなくても、問題文の情報からある程度選択肢を絞り込めるので諦めずに頑張りましょう。

もちろん、事前に勉強して覚えておくのが一番です。

事故時の措置

特定物質が漏洩したときの対応が出題されています。
物質の特徴を理解していれば漏洩時の対応も予想がつくため、各物質の性状とセットで勉強したい分野です。

よく出題される事故時の措置と該当物質を下の表にまとめました。

事故時の措置該当する主な物質
特に猛毒物質が漏洩した場合は、
立ち入りを禁止する。
シアン化水素、りん化水素
ホスゲン
引火・爆発の危険のある物質については、
着火源となるものを速やかに取り除くとともに、
爆発性混合気をつくらないようにする。
メルカプタン、二硫化炭素
一酸化炭素、ホルムアルデヒド
硫化水素
水への溶解度が大きい物質は、多量の水により
水洗除去する。
アンモニア、ふっ化水素、塩化水素
ピリジン、フェノール、硫酸

有害物質の測定

排ガス中のふっ素化合物、塩素、塩化水素、カドミウム及び鉛の分析方法についての分野です。
4つの分野のうち、毎年3問出題されています。

傾向として、カドミウム及び鉛の分析方法はほぼ毎年1問出題されており、必ず勉強しておきたい分野です。

残り2問はふっ素化合物、塩素、塩化水素の中から出題されることがほとんどです。

ふっ素化合物の分析方法

ふっ素化合物の分析方法について出題されています。

他の分析方法についても言えるのですが、細かいところまで覚えだすときりがないので過去問で出題されやすいところを重点的に覚えて自分は乗り切りました。

過去に出題頻度の高かった内容について下の表にまとめました。

分析方法
(3種類)
ランタン-アリザリンコンプレキソン吸光高度法
イオン電極法
イオンクロマトグラフ法
吸収液ふっ素化合物の主な分析方法は3種類あるが、
全て0.1mol/L水酸化ナトリウムを使用する。
試料採取排ガス中のガス状無機ふっ素化合物をふっ化物
イオンとして分析する。
ふっ化物イオン標準原液ふっ化ナトリウムで調製する。
他成分の影響試料ガス中にアルミニウム(Ⅲ)、鉄(Ⅲ)、銅(Ⅱ)、
亜鉛(Ⅱ)などの重金属イオンやりん酸イオンが共存
する場合は、水蒸気蒸留によって分離する。

塩素の分析方法

塩素の分析方法について出題されています。

分析の手順や使用する試薬のうち、誤っているものを回答する問題が多いです。
非常に紛らわしく、正確に覚えていないと正解できません。

最低限、分析方法3種類(ABTS吸光光度法、PCP吸光光度法、IC法)の概要くらいは覚えておきましょう。

塩化水素の分析方法

塩化水素の分析方法について出題されています。

塩素よりは塩化水素の方が問題のレベルが簡単な気がします。

特に出題されやすい、各分析方法の吸収液、定量範囲、他成分の影響についてまとめました。

 
イオンクロマト
グラフ法
硝酸銀
滴定法
イオン
電極法
吸収液水酸化ナトリウム
溶液
硝酸カリウム
溶液
定量範囲0.4~7.9
6.3~160
140~280040~40000
他成分の
影響
硫化物等の還元性ガス
は除去する。
(他のハロゲン化物や
陰イオンと同時定量
できる。)
二酸化硫黄、他のハロゲン
化物、シアン化物、硫化物
は除去する。
他のハロゲン化物、
シアン化物、硫化
物は除去する。

カドミウム及び鉛の分析方法

カドミウム及び鉛の分析方法について出題されています。
ほぼ毎年1問以上出題されており、重要な分野です。

各測定方法の概要と適用濃度範囲を下の表にまとめました。

測定方法概要適用濃度範囲
フレーム
原子吸光法
試料溶液をアセチレン-空気フレーム中に噴霧し、
特定の波長で測定する。
カドミウム:0.05~2mg/L
鉛:1~20mg/L
電気加熱
原子吸光法
試料を前処理した後、マトリックスモディファイヤー
として硝酸パラジウム(Ⅱ)を加え、電気加熱炉で
原子化し、特定の波長で測定する。
カドミウム:0.5~10μg/L
鉛:5~100μg/L
ICP発光
分光分析法
試料溶液を誘導結合プラズマ中に噴霧し、
原子の発光を特定の波長で測定する。
カドミウム:0.01~2mg/L
鉛:0.1~2mg/L
ICP質量
分析法
試料溶液に内標準物質(イットリウム溶液)を加え、
試料導入部を通じて誘導結合プラズマ中に噴霧し、
測定成分と内標準物質のそれぞれの質量/荷電数に
おけるイオンカウントを測定する。
カドミウム:0.3~500μg/L
鉛:0.3~500μg/L

適用濃度範囲は具体的な値まで覚えておく必要はなく、傾向を把握しておきましょう。
ICP質量分析法のみカドミウムと鉛の濃度範囲は同じで、他3つはカドミウムの方が低濃度まで測定できます。

まとめ

おさらいで全体の出題範囲を下の表に示します。

出題分野問題数
有害物質の発生過程1~2
有害物質処理方式3~4
特定物質の事故時の措置1~2
有害物質の測定3
合計10

この科目は比較的過去問から出やすい気がするので、出題頻度の高いところから重点的に勉強しましょう。

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