資格 エネルギー管理士

【課目Ⅲ:燃料及び燃焼管理】エネルギー管理士(熱分野)の出題分野を解説

概要

この記事ではエネルギー管理士(熱分野)の出題分野である、燃料及び燃焼管理について解説します。

燃料及び燃焼管理は課目Ⅲ"燃料と燃焼"の中で、大問3問中2問出題されておりウェイトが高い分野です。

ひたすら暗記する分野なので試験直前に追い込みをかけやすいですが、範囲が広いので全て覚えるのは大変です。

以下で出題頻度が高かった内容を紹介していますので、優先順位をつけて勉強しましょう。

各種燃料

気体燃料

気体燃料のおおまかな長所・短所をまず把握しておきましょう。

長所

  • 固体・液体燃料に比べて過剰空気が少なくても完全燃焼しやすく、安定した燃焼ができる。
  • 燃焼用空気だけでなく燃料自体を予熱できるので、低発熱量の燃料でも高温を得ることができる。
  • 点火・消火が用意で、温度制御や炉内雰囲気調整もしやすい。
  • 燃料中に灰分が含まれない。
  • 硫黄分が非常に少ないため、二酸化硫黄による大気汚染がない。

短所

  • 単位熱量当たりの容積が大きくなるため、輸送が不便である。
  • 貯蔵するにはガスタンク等の設備費がかかる。
  • 燃料費は液体燃料に比べて高い。
  • 漏えいによる爆発の危険を伴うため、安全管理に注意を要する。

 

気体燃料は特に高発熱量について出題されやすいです。

以下の表に各物質の高発熱量を示しました。

物質分子式高発熱量[MJ/m3N]
メタンCH439.9
エタンC2H670.5
プロパンC3H8101
ブタンn-C4H10132
イソブタンi-C4H10133
エチレンC2H463.4
プロピレンC3H693.6
ブチレンn-C4H8125
イソブチレンi-C4H8123
一酸化炭素CO12.6
水素H212.8

炭素鎖が長くなるほど高発熱量は増加していくことを覚えておきましょう。

 

また、各種ガスの主成分と高発熱量も出題されやすいです。

各種ガス主成分高発熱量[MJ/m3N]
天然ガス(乾性ガス)

天然ガス(湿性ガス)

メタン

メタン、エタン

36~48
液化石油ガス(LPG)

(2種4号)

ブロパン、プロピレン

ブタン、ブチレン

132.8
都市ガス(13A)CH4(88%)、C2H6(5.8%)、C3H8(4.5%)、n-C4H10(1.7%)46
コークス炉ガス炭化水素、水素20.9
高炉ガス窒素、一酸化炭素、二酸化炭素3.8以下

液体燃料

液体燃料のおおまかな長所・短所を把握しておきましょう。

長所

  • 固体燃料に比べて発熱量が高い(40~50MJ/kg程度)。
  • 都市ガスに比べて発熱量当たりの価格が安い。
  • 他の燃料に比べて、貯蔵、運搬が容易で、貯蔵中の変質が少ない。
  • 固体燃料に比べて燃焼効率が高い。
  • 石炭に比べて灰分が少ない。
  • 固体燃料に比べて燃焼が容易で、自動制御も容易である。

短所

  • 燃焼温度が高いため、局部加熱を起こしやすい。
  • 重質油では高硫黄分のものが多く、大気汚染の原因となりやすい。
  • 使用バーナによっては騒音を発生しやすい。

液体燃料については、特にこの内容が出題されやすい、という傾向はなく幅広く出題されています。

強いて言うなら、燃料特有の指標(軽油のセタン価、重油の動粘度)は覚えておきましょう。

固体燃料

固体燃料のおおまかな長所・短所を把握しておきましょう。

長所

  • 燃焼速度が遅いので、特殊な用途(製鉄用)には優れている。
  • 貯蔵や運搬に野積みやバラ積ができる。

短所

  • 乾燥、粉砕などの前処理を必要とする。
  • 燃焼後、多量の灰を残す。
  • パイプ輸送ができない。
  • 燃焼管理が難しい。
  • 液体燃料に比べて発熱量が低い(10~30MJ/kg程度)。

最近は特に石炭などの固体燃料は削減する声が高まっており、気体燃料、液体燃料と比較すると出題されにくいです。

燃焼基礎現象

燃焼形態

燃焼形態はいくつかの分類があります。

分類1

  • バーナ燃焼
  • 容器内燃焼

分類2

  • 予混合燃焼
  • 部分予混合燃焼
  • 拡散燃焼

分類3

  • 層流燃焼
  • 乱流燃焼

この中では特に分類2の内容が出題されやすいです。

予混合燃焼

燃料と空気をあらかじめ混合させたうえで燃焼させる手法を予混合燃焼といいます。

特に、全ての空気を予混合させて燃焼させる場合は完全予混合燃焼といいます。

単位時間当たりの燃焼ガスの燃焼量を大きく取ることができるので高負荷燃焼に適します。

しかし、混合気流速が過大になると吹き飛びを起こして消炎したり、逆に混合気流速が燃焼速度より遅いときは逆火を生じる恐れがあります。

加えて混合気の温度が高くなるとより逆火を生じやすくなるため、燃料や空気の予熱を行なうことが難しいです。

部分予混合燃焼

全燃料空気の30~80%を予混合させ、残りを2次空気として供給し燃焼させる手法を部分予混合燃焼といいます。

予混合空気量を調節することで炎の長さや輝度を変えることができます。

予混合燃焼と同様に逆火に対する配慮が必要です。

拡散燃焼

ガス燃料をバーナから吹き出し、外部の空気と接触させて燃焼を行なう手法を拡散燃焼といいます。

 

燃料ガスの流速によって火炎の長さが変わります。

流速が遅いとき(層流)は火炎長さは流速に比例して長くなります。

流速が速いとき(乱流)は、乱流拡散により拡散速度が増大するため火炎の長さはしだいに減少し、完全乱流となると流速に関係なくほぼ一定の火炎長さとなります。

 

拡散燃焼は予混合燃焼に比べて、

  • 炎が安定でガス量や空気量の調整範囲は広く、逆火の危険がない。
  • 低品位ガスでも炎の吹き飛びが起こりにくい。
  • ガスの高温予熱ができる。

などのメリットがあり、ガラス溶解炉、平炉、大型ボイラ、ガスタービン燃焼器など、工業用ガスバーナとして最もよく使用されています。

一方でデメリットとして、燃焼の反応速度は予混合に比べて遅く、炭素生成が多いため輝炎となり、すすが発生しやすいです。

消炎現象

平行平板間に可燃混合気が満たされているとき、その混合気中を火炎が伝播できる最小の平板間隔を平板消炎距離dpcといいます。

同様に円管の中に可燃混合気を満たした場合に、火炎が伝播できる最小の内径を円管消炎距離dtcといいます。

この2つの消炎距離の間には、

$$\frac{d_{pc}}{d_{tc}}=0.65$$

という関係があります。

 

消炎距離dpcやdtcは混合気の組成が理論当量比付近で最小値となり、1mm前後の値を示します。

可燃混合気の性質

可燃混合気の可燃範囲や燃焼速度は出題頻度が高いです。

以下の表に主要な物質の値についてまとめました。

ガス成分可燃範囲[%]

(下限)

可燃範囲[%]

(上限)

燃焼速度[cm/s]燃焼速度最大の

混合比[%]

水素4.075.0292170
一酸化炭素12.574.043170
メタン5.315.037106
エタン3.012.544112
エチレン3.132.175115
アセチレン2.580.0156133
プロパン2.29.543114
プロピレン2.410.348114
n-ブタン1.98.542113

可燃範囲の上限を過濃可燃限界濃度、下限を希薄可燃限界濃度といいます。

水素、メタン、プロパンの可燃範囲や燃焼速度が過去に出題されていました。

燃焼装置

気体燃料燃焼装置(ガスバーナ)、液体燃料燃焼装置(油バーナ)、固体燃料燃焼装置に関する内容はほぼ毎年1問ずつ出題されており、非常に重要です。

必ず勉強しておきましょう。

ガスバーナ

予混合燃焼ガスバーナ、拡散燃焼ガスバーナが挙げられます。

出題頻度が高いのでよく勉強しておきましょう。詳細は燃焼現象基礎で前述しています。

油バーナ

ガスバーナと同様にほぼ毎年出題されています。

最低限、以下に示す表の内容は覚えましょう。

バーナ形式油圧

[MPa]

噴霧媒体

(噴霧圧力[MPa])

容量

[L/h]

特徴主な用途
油圧噴霧式0.6~

3.0

-30~

3,000

広角の火炎、

油量調節範囲が狭い

大型ボイラ
流体噴霧式高圧気流形0.15~

0.5

蒸気または空気

(0.4~2.1)

2~

2,000

狭角の長炎、

油量調節範囲が広い

連続加熱炉、セメントキルン等の高温加熱炉
低圧気流形0.13~

0.15

空気

(0.104~0.106)

2~

300

比較的狭角の短炎小型加熱炉
回転式0.13~

0.15

空気

(0.103~0.104)

5~

1,000

比較的広角の火炎中・小型ボイラ

固体燃料燃焼装置

主に石炭を燃焼させる装置で、

  • 火格子燃焼装置
  • 微粉炭燃焼装置
  • 流動層燃焼装置
  • 融灰式燃焼装置

が挙げられます。

過去によく出題されていたのは、火格子燃焼装置、微粉炭燃焼装置、流動層燃焼装置の3つです。

火格子燃焼装置

固体燃料(粒径3~25mm)を火格子の上に人力あるいは機械によって投炭、散布して燃焼させる装置です。

中小容量の燃焼装置で使用され、石炭等を粉砕せずにそのまま燃焼させるため動力費が少ない特徴があります。

石炭の供給方法として、

  • 移床式ストーカ
  • 下込式ストーカ
  • 散布式ストーカ
  • 階段式ストーカ

などが挙げられます。

微粉炭燃焼装置

石炭を粉砕して74μm以下の微粉にしたものを1次空気とともにバーナから燃焼炉内に吹込み、燃焼室内で2次空気と混合させて浮遊状態で燃焼させる装置です。

微分炭燃焼装置のメリットとして、

  • 石炭を微粉にすることで表面積が増加し、2次空気との混合が良くなるため、少量の過剰空気でも完全燃焼できる。
  • 燃焼量の調整が容易で、負荷変動に対応しやすい。
  • 火格子燃焼で使用できない粘結炭、低発熱量炭が使用でき、使用燃料の幅が広い。
  • 燃焼速度が速く、燃焼効率も良く、予熱空気の使用も可能。

などが挙げられます。

一方でデメリットとして、

  • 設備費、維持費が大きい。
  • 煙突からの飛じんが多く、集じん装置が必要である。
  • 爆発の恐れがあるため、許容最小熱負荷は40%以上としなければならない。

などが挙げられます。

流動層燃焼装置

燃焼室の底部に多数の小穴を開けた分散板を置き、その上に石灰石や珪砂などの固体粒子を充填して空気を吹き込むと粒子全体が激しく動きます。

この状態を流動層と呼び、固体粒子に石炭を混ぜることで燃焼させる装置を流動層燃焼装置といいます。

石炭は粒径1~数mm程度で、800~1,000℃で燃焼させています。

 

流動層燃焼装置の特徴として、

  • 燃焼温度が低いため、微粉炭燃焼で発生する灰溶融によるクリンカトラブルが少ない。
  • 炭の品質にあまり依存せず、広い範囲の石炭が燃焼可能。
  • 流動媒体として石灰石ドロマイトを使用することで炉内脱硫が可能。
  • 流動層内に伝熱管を配置することで熱伝達率を高くでき、ボイラの小型化が可能。
  • 流動層内の燃料は固体粒子とともに十分に撹拌されるため、空気と接触が良く燃焼時間が短くなる。
  • 低過剰空気による燃焼が可能。

などが挙げられます。

 

また、流動層の燃焼方式も様々あります。

  • 常圧方式
    • バブリング方式:ガス流速1~2m/s
    • 高速循環方式:ガス流速4~8m/s
  • 加圧方式:1~3MPa

燃焼ガス分析法

物理的ガス分析法

ガスの分析法は物理的ガス分析法と化学的ガス分析法の2種類ありますが、ほとんどが物理的ガス分析法です。

試験にも物理的ガス分析法の方が圧倒的に出題されやすいです。

酸素の分析法

酸素の分析法は以下のように分類できます。

  • 磁気式酸素計
    • 磁気風方式
    • 磁気力方式
  • 電気化学式酸素計
    • ジルコニア方式
    • 電極方式

名前くらいは覚えておきましょう。

一酸化炭素の分析法

一酸化炭素の分析法は様々ありますが、特に非分散赤外線吸収分析計についてが出題されやすいです。

一酸化炭素の赤外線吸収量から濃度を算出する手法で、

  • 水蒸気
  • 二酸化炭素

が干渉成分となるため、干渉フィルタでカットします。

窒素酸化物の分析法

窒素酸化物の分析法は主に3種類挙げられます。

方式測定レンジ[vol ppm]測定対象物質妨害物質
化学発光方式0~10

0~2,000

NO

NOx

CO2
赤外線吸収方式0~10

0~2,000

NO

NOx

CO2、SO2、水分、炭化水素
紫外線吸収方式0~50

0~2,000

NO

NO2

NOx

SO2、炭化水素

方式の名前と妨害物質くらいは覚えておきましょう。

硫黄酸化物の分析法

硫黄酸化物の分析法は主に4種類挙げられます。

方式測定レンジ[vol ppm]妨害物質
溶液導電率方式0~25

0~2,000

CO2、NH3、HCl、NO2
赤外線吸収方式0~25

0~2,000

CO2、水分、炭化水素
紫外線吸収方式0~25

0~2,000

NO2
紫外線蛍光方式0~10

0~1,000

炭化水素

方式の名前と妨害物質くらいは覚えておきましょう。

化学的ガス分析法

物理的ガス分析法よりも出題頻度は低いですが、分析法の名前くらいは知っておきましょう。

  • ヘンペルガス分析法:CO2、O2、CO、N2が測定可能。
  • オルザットガス分析法:CO2、O2、CO、N2が測定可能。

ガスの採取方法

排ガスの採取方法についても、それなりに出題頻度が高いです。

  • 採取位置:ダクトの屈曲部分、断面形状が急激に変化する部分は避ける。
  • 採取点:ガス濃度の変動が採取位置断面で±15%以下であれば、任意の1点としてよい。
  • 採取口:排ガス流に対してほぼ直角に採取管を挿入できる角度とする。
  • 採取管:必要に応じて保温・加熱する。
  • 導管:なるべく短くし、下り勾配になるよう加工する。

以上の内容は覚えておきましょう。

燃焼による設備・環境への障害

高温腐食

ボイラ等の燃焼装置において、燃料中に含まれるバナジウム、ナトリウム、ニッケルなどの酸化物を含有する灰が、過熱器・再熱器などの高温伝熱面に付着、溶融し、母材表面の酸化被膜を溶解させて腐食を発生させる現象を高温腐食と言います。

特に二酸化五バナジウム(V2O5)は融点が675℃程度で、融解して腐食を起こしやすいです。これをバナジウムアタックといいます。

高温腐食の防止策として、

  • 高温部伝熱面の表面温度を下げる。
  • 付着物を落とすようにスートブロワを適切に配置する。
  • ドロマイトなどの添加物を注入し、灰の融点を上げる。
  • 低バナジウム、ナトリウム燃料を使用する。
  • 定期点検でスケールを除去する。

などが挙げられます。

低温腐食

燃料中の硫黄化合物は燃焼により大部分は二酸化硫黄SO2となりますが、一部は三酸化硫黄SO3となります。

SO3は水蒸気と反応して硫酸を生成し、低温伝熱面に凝縮して腐食を発生させることがあり、これを低温腐食といいます。

低温腐食の防止策として、

  • 低硫黄分燃料を使用する。
  • 空気予熱器やエコノマイザにより、表面温度が酸露点以下にならないようにする。
  • SO3中和のため、ドロマイトやアンモニアを燃焼室内に添加する。
  • 低空気比燃焼を行ない、SO3転換率を低減する。

などが挙げられます。

おわりに

エネルギー管理士(熱分野)課目Ⅲの燃料及び燃焼管理の分野について解説しました。

ひたすら暗記する課目なので得意不得意や好みがわかれるところだと思います。

多少なりとも実務や他の資格で覚えた内容が被っていれば楽ですね。

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