化学工学用語集 物性

【Raoultの法則】を解説:気液平衡のベースとなる法則

2020年10月27日

概要

2成分以上の混合溶液において、分圧がその純物質の蒸気圧とその物質の濃度との積に比例する法則のことをRaoult(ラウール)の法則といい、そのような溶液を理想溶液といいます。

文字で理解するよりも数式の方が簡単で理解しやすいと思います。
例えば第1成分、第2成分の分圧p1、p2

$$p_{1}=P_{1}x_{1}$$

$$p_{2}=P_{2}x_{2}$$

P1:第1成分が単独で存在するときの蒸気圧、P2:第2成分が単独で存在するときの蒸気圧
x1:第1成分のモル分率、x2:第2成分のモル分率

上式で表されます。

P1、P2は純物質の蒸気圧であり、算出方法は下の記事で紹介しています。

【純物質の蒸気圧】推算方法を解説:Antoine式が精度高い

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例として2成分系を挙げましたが、3成分以上の系にも同じように適用できます。

$$p_{i}=P_{i}x_{i}$$

pi:i成分の分圧、Pi:第i成分が単独で存在するときの蒸気圧
xi:第i成分のモル分率

化学プラントでは3成分以上の化合物を扱うことはよくありますから、むしろ多成分系に適用できない式は最近使われなくなってきています。

非理想溶液への拡張

Raoultの法則は各成分の間に相互作用が働かない系でしか成り立たず、低圧条件下の炭化水素化合物のような一部の組み合わせのみが理想溶液に近い挙動を示します。

一方で水やアルコールのような極性分子を持つ化合物は非理想的な挙動を示すので、Raoultの法則自体は成り立ちません。
しかしこのような非理想溶液でもRaoultの法則は非常に重要です。

なぜなら非理想溶液の分圧は一般的にRaoultの法則に補正係数をかけて表すため、ベースとなっている式の形はRaoultの法則と同じだからです。

$$p_{i}=P_{i}x_{i}γ_{i}$$

pi:i成分の分圧、Pi:第i成分が単独で存在するときの蒸気圧
xi:第i成分のモル分率、γi:i成分の活量係数

γiが補正係数で、特別に活量係数と呼ばれています。
この活量係数によって理想溶液から計算される分圧を補正して実際の分圧にしています。

そのため非理想溶液の分圧を計算したければ、活量係数γを別途算出しておく必要があります。

そしてこの活量係数γをいかにして精度良く求めるか、というところがケミカルエンジニアの腕の見せ所でありますし、物性推算という分野全体の中でも難しい課題の一つとなっています。

アカデミックな分野でも未だに研究が進められており、近年においても新たな活量係数の推算モデルが発表されています。

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