公害防止 資格

【ばいじん・粉じん特論】公害防止管理者の出題分野を過去10年分の傾向から解説

2021年2月28日

概要

公害防止管理者大気1種に合格したブログ管理人が、過去10年分の出題傾向から頻出分野を紹介するシリーズです。

やみくもに参考書を読んだり過去問を周回するよりは、最初にある程度出題傾向や頻度を把握した方が効果的です。

出題分野ごとに傾向を解説していますので、資格勉強の方針を決める参考になればと思います。

この記事ではばいじん・粉じん特論についてまとめています。

出題分野

ばいじん・粉じん特論での全体の出題分野を以下の表に示します。

出題分野問題数
処理計画2
集じん装置の原理と構造及び機能6~7
集じん装置の維持管理1
一般粉じん発生施設と対策0~1
特定粉じん対策と測定2
ばいじん・粉じんの測定3
合計15

ばいじん・粉じん特論は各分野の出題数がここ10年でほとんど変わっていません。
H24だけ一般粉じん発生施設と対策から1問の出題がありましたが、他の年は0問でした。

したがって、基本的な出題数は

処理計画:2問
集じん装置の原理と構造及び機能:7問
集じん装置の維持管理:1問
一般粉じん発生施設と対策:0問
特定粉じん対策と測定:2問
ばいじん・粉じんの測定:3問

となっています。

他の科目と比較すると、出題される分野・傾向が読みやすく勉強しやすい科目です。

15問中9問取れば合格です。
全ての分野をきっちり勉強するのが理想ですが、出題頻度を考えると割に合わない分野もあります。

資格勉強にあまり時間を割けない人は、点を取りやすい分野に絞って勉強するのがよいでしょう。

処理計画

ダストや集じん装置の特性について出題されています。
毎年2問出題されており、重要な分野です。

ただ、この分野の出題範囲は広いため、全ての内容をカバーするのは時間がかかります。

以下に示す内容が過去に出題されたことのある頻出項目ですので、ポイントに絞って勉強するのがよいと思います。

粒子径分布と平均粒子径

ダストの粒子径について出題されています。
粒子径の各指標を広く浅く問われることもあれば、1つの指標について詳しく問われることもあります。

各粒子径分布の特徴を下の表に簡単にまとめました。

 特徴など
積算分布
(ふるい上分布)
R=50%に対応する粒子径を中位径、もしくは
メディアン径、50%粒子径という。
頻度分布ピークに対応する粒子径を最頻度径、もしくは
モード径という。
ロジンーラムラー分布産業活動の過程で発生するダストの粒子径分布が
よく従う。
対数正規分布粒子径分布が対数正規分布に従う場合は、
各種の平均粒子径が解析的に計算できる。

ダストの付着性

ダストの特徴は他にも密度や見掛け電気抵抗率がありますが、特に出題頻度が高いのが付着性です。

付着についてはイメージしやすいため覚えやすいと思います。

各種発生源施設とダスト特性

各種施設から発生するダストの特徴が出題されています。
特に微粉炭燃焼ボイラーと重油燃焼ボイラーが出題されやすいので覚えておきましょう。

各種施設のダストの特徴をまとめました。

 ダスト濃度ダスト粒度かさ密度ダスト
主成分
微粉炭燃焼
ボイラー
高品位炭:20g/m3
低品位炭:35~45g/m3
中位径:15~35μm700kg/m3SiO2
アルミナ
重油燃焼
ボイラー
0.1~0.2g/m3
低硫黄重油:0.1g/m3以下
粗粒子:20~40μm
微粒子:0.01~0.02μm
100~200
kg/m3
固定炭素
揮発分
SO3
黒液燃焼
ボイラー
5~6g/m3中位径:0.1~0.3μm0.13kg/m3Na2SO4
Na2SO3
焼成炉0.5~2.5g/m3粗粒子:10μm以上
微粒子:5μm以下
-全Fe
CaO
SiO2
転炉15~25g/m3
(スタビライザー入口)
70~80g/m3
(一次集じん装置入口)
中位径:0.2μm-全Fe
アルミナ
SiO2
セメント
製造炉
24~45g/m3
(乾式キルン)
10~15g/m3
(半温式キルン)
30g/m3以下
(湿式)
操業条件によって
大幅に異なる。
-CaO
SiO2
アルミナ

集じん性能

ある条件下での集じん装置の集じん率を計算する問題が出題されています。

集じん装置を複数直列に繋いで計算させるような問題が多いですが、落ち着いて1つ1つの集じん装置について考えれば解けます。

基本的には、

$$η=(1-\frac{F_{out}C_{out}}{F_{in}C_{in}})×100$$

η:集じん率[%]、Fin、Fout:入口、出口の流量[m3/h]
Cin、Cout:入口、出口のダスト濃度[g/m3]

上の式を覚えていればたいてい解けます。

集じん装置の選定

集じん装置の選定で気をつけるべき点について出題されています。

集じん装置の基本流速が出題されやすいので、特に大小関係を覚えておきましょう。

基本流速の
大小
ベンチュリスクラバー>遠心力集じん装置
>充填塔>バグフィルター

集じん装置の原理と構造及び機能

各集じん装置の特徴について、近年では7問出題されています。
問題数が多いですが、出題範囲を絞りやすく勉強しやすいため非常に重要な分野です。

7問全て正解できるくらい力を入れて勉強してよいと思います。

分離速度と集じん率

重力集じん装置や遠心力集じん装置のような流通形式集じん装置の概要について出題されています。

どちらかというとこの分野の概要的な内容よりは、後述する個別の集じん装置の特徴の方が出題頻度が高いです。

したがって優先順位は低いですが、全く出題されないわけでもないので一通りは確認しておきましょう。

重力集じん装置

遠心力集じん装置よりは出題頻度が低いですが、それなりの出題頻度です。

出題内容は100%分離限界粒子径dp100に関することが多いです。
確実に式を覚えましょう。

$$d_{p100}=\sqrt{\frac{18μHu}{ρ_{p}gL}}$$

μ:粘度、H:沈降室の高さ、L:沈降室の奥行
u:気流の水平方向速度、ρp:粒子密度、g:重力加速度

遠心力集じん装置

いわゆるサイクロンに関して出題されています。
出題されない年の方が珍しいくらい、出題頻度が高いです。

確実に正解できるよう勉強しましょう。

特にサイクロンの遠心沈降速度vcはよく出題されますので式を丸暗記しましょう。

$$v_{c}=\frac{ρ_{p}d_{p}^{2}v_{θ}^{2}}{18μR}$$

ρp:粒子密度、dp:粒子径、vθ:円周方向の粒子速度
μ:ガス粘度、R:半径位置

電気集じん装置

電気集じん装置の原理や特徴が出題されています。
毎年2~3問出題されており、集じん装置の分野の中でも非常に重要です。

ポイントはいくつかありますが、出題頻度の高い2点について簡単に紹介します。

1点目は帯電粒子の理論移動速度veについてです。

$$v_{e}=\frac{qE}{3πμd_{p}}C_{m}$$

q:粒子帯電量、E:電界強度、μ:ガス粘度
dp:粒子径、Cm:カニンガムの補正係数

式の形がそのまま問われることもあれば、理論移動速度veが式中のどのパラメータに比例・反比例するか問われることもあります。

2点目は電気集じん装置の集じん率の推定式であるドイッチェの式についてです。

$$η=1-exp(-\frac{ω_{e}A}{Q})$$

η:集じん率、ωe:分離速度
A:有効集じん面積、Q:処理ガス流量

同様に式の形がそのまま問われることもあれば、計算問題として出題されることもあります。

障害物形式集じん装置の概要

障害物形式の集じん装置の概要について出題されています。
ただ出題頻度が低いため、まずは他の頻出分野を固める方がよいと思います。

洗浄集じん装置

いわゆるスクラバーと呼ばれるような、液体を使用する集じん装置について出題されています。
2年に1度は出題されており、それなりに出題頻度は高いです。

それぞれの装置の大まかな特徴を問われることが多いです。
以下に特徴をまとめました。

形式装置50%分離
粒子径
特徴
ため水式Sインペラー形
ガス旋回形
ガス噴出形
1μm基本流速が大きいほど、微細な
ダストも捕集することができる。
加圧水式ベンチュリスクラバー
ジェットスクラバー
スプレー塔
サイクロンスクラバー
0.1μm
0.2μm
3μm
1μm
ベンチュリスクラバー、ジェットスク
ラバーは基本流速が大きいほど微細な
ダストも捕集することができる。
スプレー塔、サイクロンスクラバーは
基本流速が小さいほど集じん率は
高くなる。
充填層式充填層
流動層スクラバー
1μm
1~3μm
基本流速が小さく、ガスの流れが
均一であるほど集じん率が高くなる。
回転式タイゼンワッシャー
インパルススクラバー
0.2μm回転数や液ガス比が大きいほど
集じん率は高くなる。

スプレー塔が最も50%分離粒子径が大きく、ベンチュリスクラバーが最も小さいことは覚えておきましょう。

ダスト層の圧力損失

隔壁形式集じん装置において、ダスト層の圧力損失を求める式であるコゼニー・カルマンの式がよく出題されています。

式そのものを問われることもあれば、定性的なことを問われることもあります。
いずれにしろ、式をちゃんと覚えておけば正解できます。

下にコゼニー・カルマンの式を示します。

$$Δp_{d}=\frac{180}{d_{ps}^{2}}\frac{(1-ε)m_{d}μu}{ε^{2}ρ_{p}}$$

Δpd:ダスト層の圧力損失、dps:ダストの比表面積径
ε:ダストの空隙率、ρp:ダストの密度、md:ダスト負荷
μ:ガス粘度、u:ろ過速度

ろ布の形状と特性

隔壁形式集じん装置に使用されるろ布材の特性について出題されています。
特に材質の耐熱温度や耐薬品性を問う問題か、表面加工法を問う問題がよく出題されています。

表面加工法について下の表にまとめました。

加工法主要目的
コーティング加工剥離性の向上
捕集性の向上
ディッピング加工耐食性の向上
撥水性の向上
撥油性の向上
膜加工剥離性の向上
捕集性の向上
平滑加工剥離性の向上
毛焼き加工剥離性の向上

ダストの払い落とし

ダストの払い落とし方式や装置について出題されています。
2年に1問は出題されているので、できれば覚えておきたい分野です。

下の表に、方式と装置を簡単にまとめました。

方式装置特徴
間欠式振動形
逆洗形
複数に仕切られた集じん室ごとに
払い落としを行なう。
連続式パルスジェット形
ソニックジェット形
リバースジェット形
集じん室の部分ごとに、順次
払い落としを行なう。

集じん装置の維持管理

集じん装置の運転や保守の内容が出題されています。
毎年1問はこの分野から出題されていますので、最低限の勉強はしておきたいところです。

分野としては広いですが、テストに出るところは限られています。
特にバグフィルターの運転に関する内容が出題されやすいので過去問で確認しましょう。

バグフィルターのマノメーター指示値が異常値を示したときの原因を下の表にまとめました。

マノメーター指示値原因
異常な増大風量が過大。
ろ布の目詰まり。
マノメーター導管の亀裂による空気漏れ。
ろ布が湿ってダストが固着。
ホッパー内捕集ダストの再飛散。
異常な減少払い落とし過剰。
ろ布の破れなどによるダストの漏れ。
マノメーター導管の詰まり。
風量の減少。

一般粉じん発生施設と対策

過去10年間で1度だけ出題されましたが、ここ5年ほどは出題されていません。
他の分野の勉強に力を入れましょう。

特定粉じん対策と測定

石綿に関する内容が毎年2問出題されています。
出題分野が狭く、似たようなところが出題されていますので点を取りやすい分野です。

石綿の種類と性状

石綿の種類や主成分が出題されています。

主要な石綿の特徴を下の表にかんたんにまとめました。

 石綿名主成分特徴
蛇紋石族クリソタイルSiO2
マグネシウム
国内で工業的に使用されている石綿の
95%以上を占める。
角閃石族アモサイトSiO2

マグネシウム
-
角閃石族クロシドライトSiO2

マグネシウム
ナトリウム
ごく限られた用途以外には
使用されていない。

石綿繊維の計数法

石綿繊維の計数法について出題されています。
出題頻度もそれなりに高いため、確実に覚えておきましょう。

特に下の表にまとめた事項はよく出題されています。

計数対象粒子長さ5μm、幅(直径)3μm未満で、アスペクト比が
3以上のものを対象とする。
繊維状粒子の
数の判定
単繊維が曲がっている場合は、繊維の直線部分を目安にして
曲がっている部分に沿って真の長さを推定して判定する。

枝分かれした繊維の場合、一つの繊維から枝分かれした
部分を含む全体を1本として数える。

数本の繊維が交差している場合、交差しているそれぞれの
繊維状粒子を1本と数える。

繊維がからまって正確に数を読み取ることができない
場合には、数えない。
計数視野領域と
繊維状粒子の取り扱い
計数視野領域に繊維状粒子の両端が入っている
場合は1本と数える。

境界内に片方の端しか入っていない
場合は1/2本と数える。

石綿濃度の計算

石綿濃度Fを計算する問題が出題されています。
この分野の2問中、1問はこの計算問題と言っていいくらい出題頻度が高いです。

なおかつ、計算式を覚えておけば簡単に正解できますのでボーナス問題です。

$$F=\frac{AN}{anV}$$

F:石綿濃度[本/L]、A:捕集用ろ紙の有効ろ過面の面積[cm2]
N:計数繊維数の合計[本]、a:顕微鏡の視野の面積[cm2]
n:計数を行なった視野の数、V:採気量[L]

ばいじん・粉じんの測定

ばいじん・粉じんの測定に関する内容が毎年3問ほど出題されています。
出るポイントはだいたい決まっていますし出題数も多いので、力を入れて勉強したい分野の1つです。

測定方法の概要

測定方法について毎年1問程度出題されています。

特にガス吸引に関する内容の出題頻度が高いため、下に関連する内容をまとめました。

吸引速度排ガス流速<吸引速度 なら 測定濃度<真のダスト濃度
排ガス流速>吸引速度 なら 測定濃度>真のダスト濃度
吸引流速の
JISでの規定
測定点の排ガス流速に対して
相対誤差-5~+10%とする。
吸引ノズルの角度排ガスの流れ方向と吸引ノズルの方向の偏りは
10°以下とする。

また、非等速吸引によるダスト濃度の誤差を推定する式としてデービスの式があり、よく出題されています。

$$\frac{C_{n}}{C}=\frac{v}{v_{n}}-\frac{1}{1+2Stk}(\frac{v}{v_{n}}-1)$$

$$Stk=\frac{d_{p}^{2}ρ_{p}v}{9μγ}$$

Cn:非等速吸引で採取したときの標準状態におけるダスト濃度[g/m3]
C:等速吸引で採取したときの標準状態におけるダスト濃度[g/m3]
v:測定点のガス流速[cm/s]、vn:吸引ガス流速[cm/s]、Stk:ストークス数[-]
dp:ダスト粒子の直径[cm]、ρp:ダスト粒子密度[g/cm3]
μ:ガス粘度[g/(cm・s)]、γ:吸引ノズルの半径[cm]

水分量の測定

排ガス中の水分量を測定する場合の条件について出題されています。
ダスト濃度測定と条件を混同しやすいので注意しましょう。

特に出題されやすい事項について下の表にまとめました。

等速吸引する必要はない。
中心部に近い1点のみからの試料採取でよい。
平衡形試料採取装置を使う場合には、あらかじめ
水分量を知る必要はない。
水分量の測定は、吸湿管による方法と計算から
求める方法がある。
CO2を含むガスに対しての吸湿剤は
無水塩化カルシウムを使用する。

流速・流量の測定

ピトー管を用いて排ガスの流速・流量を測定する場合の計算問題が出題されています。

式の形を覚えていなければ正解することは難しいと思います。
確実に覚えておきましょう。

$$v=c\sqrt{\frac{2P_{d}}{ρ}}$$

v:排ガス流速[m/s]、Pd:ピトー管による動圧測定値[Pa]
c:ピトー管係数、ρ:ダクト内における排ガスの密度[kg/m3]

まとめ

おさらいで全体の出題範囲を下の表に示します。

出題分野問題数
処理計画2
集じん装置の原理と構造及び機能6~7
集じん装置の維持管理1
一般粉じん発生施設と対策0~1
特定粉じん対策と測定2
ばいじん・粉じんの測定3
合計15

問題数が多く、かつ点を取りやすい"集じん装置の原理と構造及び機能"の分野をまず重点的に勉強するのがよいと思います。

詳細な内容については参考書や過去問で繰り返し確認して覚えましょう。

© 2021 化学工学レビュワー Powered by AFFINGER5