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化学工学 集塵

【洗浄集塵】について解説:液体による粒子捕集

2023年6月26日

概要

液滴や液膜等の液体を利用して捕集する集塵機構を洗浄集塵といいます。

液体を使用しない集塵方法を乾式集塵が呼ばれるのに対して、洗浄集塵は湿式集塵と呼ばれます。

同一の圧力損失で比較すると、乾式集塵よりも湿式集塵の方が捕集効率が良くなることが多いです。

一方で、粒子捕集に使用した液滴等の捕集媒体が処理ガスに同伴することがあるため、場合によってミストエリミネーター等の気液分離器を設置する必要があります。

主な装置の種類

主に使用される洗浄集塵装置を紹介します。

溜水式

  • ガス流速:20~30m/s
  • 液ガス比:0.0003~0.002m3/m3
  • 圧力損失:0.5~1.5kPa
  • 最小捕集粒径:0.5~1.0μm

装置内に一定の液滴を保持し、含じんガスを高速で通過させることで液滴や液膜を形成させて捕集します。

構造が簡易なのが特徴で、かつ捕集に使用する液体を循環利用するため、液体の使用量が少ないのがメリットです。

一方で、ガス流速が速く飛沫同伴するミストが多くなるため、ミストエリミネーターの設置は必須です。

加圧水式

スプレー塔

  • ガス流速:1~2m/s
  • 液ガス比:0.002~0.003m3/m3
  • 圧力損失:0.1~0.5kPa
  • 最小捕集粒径:3μm

洗浄集塵装置の中ではかなり簡易的なものです。

含じんガスを下側から供給し、上側に設置したスプレーノズルから液滴を噴霧することでガスと液滴を向流接触させて粒子を捕集します。

スプレー塔内のガス流速(空塔速度)が速くなると噴霧した液滴がガスに同伴してしまうため、ガス流速は1~2m/s以下で運転するのがよいでしょう。

サイクロンスクラバー

  • ガス流速:1~2m/s
  • 液ガス比:0.0005~0.002m3/m3
  • 圧力損失:1.2~1.5kPa
  • 最小捕集粒径:1μm

遠心スクラバーとも呼ばれます。

基本的にはサイクロンのようにガスを旋回運動させる装置ですが、多数のスプレーノズルから液滴を噴霧して粒子を捕集します。

粒子を捕集した液滴は遠心力により塔壁に衝突し回収されます。

ジェットスクラバー

  • ガス流速:10~20m/s
  • 液ガス比:0.01~0.05m3/m3
  • 圧力損失:-1.5~0kPa
  • 最小捕集粒径:0.2μm

高圧の洗浄水をノズルから高速で噴霧することで、周囲の含じんガスをエジェクター効果により吸引します。

スロート部で加速され拡大管を通過する間に、気液の混合、液滴による粒子の捕集等が起こります。

液ガス比が大きい点はデメリットですが、ガスは自然と吸引されるため送風機を必要としないのがメリットです。

ベンチュリスクラバー

  • ガス流速:60~90m/s
  • 液ガス比:0.0005~0.0015m3/m3
  • 圧力損失:3.0~8.0kPa
  • 最小捕集粒径:0.1μm

いわゆるベンチュリー管のような構造を有しています。

含じんガスを収縮管部で加速させ、スロート部で噴霧した液滴により捕集します。

ディフューザー部でガスは減速しますが液滴の加速は続くため、粒子の捕集効果はしばらく持続します。

洗浄集塵装置の中では最も最小捕集粒径が小さく捕集効率が高いのがメリットですが、その分圧力損失も高いのがデメリットです。

充填層式

充填塔

  • ガス流速:0.5~1m/s
  • 液ガス比:0.002~0.003m3/m3
  • 圧力損失:1.0~2.5kPa
  • 最小捕集粒径:1μm

充填塔はガス吸収・放散塔、蒸留塔など他の単位操作でよく使用されています。

純粋に集塵装置として使用されることは少なく、ガス吸収と集塵を同時に行なうなど、他の単位操作と組み合わせて選定されることが多いです。

充填塔の集塵性能は充填物の種類や充填高さに依存しますが、一般には上に示すように最小捕集粒径1μm程度となります。

強制回転式

タイゼンワッシャー

  • 回転速度:350~750rpm
  • 液ガス比:0.0007~0.002m3/m3
  • 圧力損失:-0.5~-1.5kPa
  • 最小捕集粒径:0.2μm

ファンの回転を利用してフィード液と含じんガスを撹拌して液滴を形成し粒子を捕集します。

集塵性能はジェットスクラバー、ベンチュリスクラバーに匹敵し、また回転機によりわずかに昇圧されるのが特徴です。

まとめ

洗浄集塵について解説しました。

様々な装置がありますが、捕集効率の高いベンチュリスクラバーが使用されることが多いようです。