資格 エネルギー管理士

【課目Ⅳ:計測及び制御】エネルギー管理士(熱分野)の出題分野を解説

概要

この記事ではエネルギー管理士(熱分野)の出題分野である、計測及び制御について解説します。

計測及び制御は課目Ⅳ"熱利用設備及びその管理"の中で、大問6問中2問出題されています。

計測の内容も制御の内容も、ある程度出題頻度が高い問題が決まっていますので、まずはその内容を重点的に勉強しましょう。

以下で出題頻度が高かった内容を紹介しています。

計測

温度計

熱電温度計

熱電温度計は特に出題頻度が高いのでよく勉強しておきましょう。

 

材質の異なる2本の金属線の両端を接合して閉回路を作成します。これを熱電対といいます。

熱電対の2つの接点を異なる温度に保つと電流が流れます。これをゼーベック効果といい、その電流を起こさせる起電力を熱起電力といいます。

熱起電力の大きさは両接点の温度によってのみ決まり、金属線の太さ・長さ及び接点以外の部分の温度には無関係であることが知られています。

したがって、一方の接点の温度を一定に保ち、この回路に生ずる熱起電力を測定することにより、他の接点の温度を知ることができます。

 

また、熱電対の種類も出題されやすいです。

記号+脚-脚常用温度[℃]
Bロジウム30%を含む

白金ロジウム合金

ロジウム6%を含む

白金ロジウム合金

1,500
Rロジウム13%を含む

白金ロジウム合金

白金1,400
Sロジウム10%を含む

白金ロジウム合金

白金1,400
Nニッケル、クロム及び

シリコンを主とした合金

ニッケル及び

シリコンを主とした合金

850~1,200
Kニッケル及び

クロムを主とした合金

ニッケルを

主とした合金

650~1,000
Eニッケル及び

クロムを主とした合金

銅及びニッケルを

主とした合金

450~750
J銅及びニッケルを

主とした合金

400~600
T銅及びニッケルを

主とした合金

200~300

T、K、R熱電対は過去によく出題されています。

放射温度計

3年に1回くらいは出題されています。

全ての物体は表面から電磁波の形態で熱を放出しており、この熱放射を利用して温度を測定するのが放射温度計です。

 

放射温度計のメリットとして、

  • 高温の測定が可能。
  • 移動物体や回転体の測定が可能。
  • 遠距離物体や非常に大きい物体の測定が可能。
  • 小さい物体の測定が可能。
  • 非常に速い応答速度の測定が可能。
  • 広い面積の温度分布の測定が可能。

などが挙げられます。

一方デメリットとして、

  • 物体の放射率に測定精度が左右される。
  • 測定対象の近くに高温物体があると、その物体の熱放射エネルギーが測定対象から反射されるので大きな誤差が生じる。
  • 放射温度計と測定対象の間に物質があると、測定できないか大きな誤差を生じることがある。

などが挙げられます。

 

また、以下の表に放射温度計の種類をまとめました。

名称検出素子原理
全放射温度計サーモパイル(集合熱電対)

焦電素子

物体からの放射エネルギーをほぼ全波長にわたって

熱の形で受け、素子の温度上昇により測定する。

主に低温用であるが、光路中に炭酸ガスや水蒸気があると誤差を生じる。

単色放射温度計

部分放射温度計

Si、Ge、InGaAs

PbS、PbSe

物体からの放射エネルギーのうち、狭い波長帯の可視光または近赤外線を受けて電気信号に変える。
2色放射温度計Si、Ge、InGaAs2つの波長の放射エネルギーの強さの比を測って温度を知る。

灰色減光や視野欠けに強い。

走査放射温度計Si、InGaAs、PbS

PbSe、InSb、HgCdTe

一次元又は二次元的に測定対象を走査して広い範囲の

温度を測定する。

光高温計肉眼物体からの光の強さと電球フィラメントの光の強さを

肉眼で確認する。

流量計

差圧式流量計

流体が流れている管路の途中に流路が狭くなる"絞り"を入れると、その前後に差圧が発生します。

この差圧は流量の2乗に比例することがわかっており、差圧を測定することで流量を求めることができます。

絞り機構にはオリフィス、ノズル、ベンチュリ管などがありますが、オリフィスが最も多く使用されています。

 

差圧式流量計のメリットとして、

  • 国際的に規格が整備されており、規格に従って製作し設置すれば、実際に流体を流して校正する必要がない。
  • 構造が簡単で安価である。
  • 液体・気体・蒸気と広い範囲の流体に適用できる。
  • 可動部がないので保守が容易である。

などが挙げられます。

一方デメリットとして、

  • 実質的な流量測定範囲がやや狭い。
  • 特にオリフィスでは圧力損失が大きく、省エネルギー的には不利である。
  • 固形物や気泡を多く含む液体や、脈動流には適していない。
  • 絞り機構の前後にかなり長い直管部が必要である。

などが挙げられます。

超音波流量計

超音波流量計は伝播速度差式とドップラー式の大きく2種類に分けられます。

 

伝播速度差式

管内の流れに対して超音波を斜めに両方向から照射すると、流れの順方向と逆方向で超音波の伝播時間に差が生じます。

その伝播時間差が流速に比例することを利用して流速を測定し、流量を求めます。

この手法は液中に気泡や固形物が多く含まれていると測定できません。

 

ドップラー式

流体に超音波を照射すると、流体内の気泡や固形物で反射した超音波がドップラー効果によって周波数がシフトします。

送信破と受信破の周波数の差が流速に比例することを利用して流速、流量を求めます。

この手法は伝播速度差式とは逆に、液中に気泡や固形物がないと測定できません。

渦流量計

流れの中に柱状の物体を置くと、物体の下流側で2列の渦が安定して交互に発生する場合があります。

この渦はカルマン渦と呼ばれ、渦の周波数fと流速vの間には、

$$f=St\frac{v}{d}$$

f:渦の周波数[1/s]、St:ストローハル数[-]、v:流体の流速[m/s]、d:物体の代表長さ[m]

上の式の関係があります。

ストローハル数Stはレイノルズ数のかなり広い範囲で一定となるため、渦の周波数を測定すれば流速、流量を算出することができます。

ピトー管式流速計

ピトー管により全圧と静圧を測定することで差圧を測定することで、流速、流量を測定します。

ベルヌーイの定理から式を変形すると、

$$v_{1}=\sqrt{\frac{2(p_{0}-p_{1})}{ρ}}$$

上の式となり、差圧が流速の2乗に比例することがわかります。

詳細は以下の記事で解説しています。

【課目Ⅱ:流体工学の基礎】エネルギー管理士(熱分野)の出題分野を解説

この記事ではエネルギー管理士(熱分野)の出題分野である、流体工学の基礎について解説します。流体工学の基礎は課目Ⅱ"熱と流体の流れの基礎"の中で、大問4問中1問出題されています。普段実務で配管の流量計算、圧損計算をやっている方にとっては得点源となるでしょう。

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圧力計

弾性式圧力計

ブルドン管圧力計、ベローズ式圧力計、ダイアフラム式圧力計などが挙げられます。

これらの中ではブルドン管式圧力計が出題されやすいです。

 

ブルドン管圧力計

断面が楕円形の金属管の一端を閉じ、C字形・渦巻形・つる巻き形などの形に巻き、他端から圧力を加えると、巻かれた管はほどける方向に動きます。

閉じた先端の変位量は、加えた圧力に比例するため、この変位をギアやレバーで拡大して指針を動かします。

ブルドン管圧力計のメリットとして、

  • 構造が簡単で安く製作できる。
  • 管の材料・寸法を選べば、非常に広い圧力測定範囲をカバーする。
  • 測定にあたって外部からのエネルギーを必要としない。

などが挙げられます。これらのメリットから、現場形圧力指示計の大部分にブルドン管式が使用されています。

一方デメリットとして、

  • 指示機構は誤差が出やすいため、軽くて摩擦のないようにする必要がある。
  • 振動や衝撃に弱い。

などが挙げられます。

液柱式圧力計

U字形の管に液体を入れて一端に圧力を加えると、管内の液体は圧力により移動し、二液面間の液位差と加えた圧力がバランスしたところで停止します。

このときの液位差を測定して圧力を測定することができます。

$$p_{1}-p_{2}=ρgh$$

p1、p2:圧力[Pa]、ρ:液体密度[kg/m3]、g:重力加速度[m/s2]、h:液位差[m]

上の式から差圧を容易に算出することができます。

制御

自動制御の語句

 

上図のようなタンク内の水を蒸気で加熱する装置の温度制御を例とします。

制御量

制御量は、制御対象に属する量のうちで、それを制御することが目的になっている量と定義されています。

上図の例では、タンク内の水の温度を所定の値としたいので、タンク内の水温が制御量となります。

目標値

目標値は、制御系において、制御量がその値を取るように目標として与えられる量と定義されています。

上図の例では、タンク内の温水の所定の値が目標値となります。

ただし、目標値は一定とは限らず、経時変化で値が変わる場合もあります。このときは変化する目標値に制御量を追従させる必要があります。

このような制御を、追従制御または追値制御といいます。

一方で、目標値が一定の制御を定値制御といいます。

外乱

外乱は、制御系の状態を乱そうとする外部からの作用と定義されています。

上図の例では、タンクに加えられる水の流量や温度が変化すれば制御系の状態が乱されるので、水の供給流量や供給温度は外乱となります。

信号の流れ方による分類

フィードバック制御

一般的なフィードバック制御の構成を上図に示します。上図はそのまま試験に出題されたこともあるので覚えておきましょう。

上図での制御装置は、

  • 検出部
  • 比較部
  • 制御演算部
  • 操作部

の4つの要素から構成されています。

制御対象に外乱が生じると、それを検出部で検出し、比較部で目標値と比較します。

目標値と測定値の差異を偏差といい、制御演算部で偏差がなくなるように制御量を決定し、操作部で制御対象に対して操作を行ないます。

その後は同じことを繰り返しますが、このように制御量を目標値と比較し、それらを一致させるように操作量を生成する制御をフィードバック制御といいます。

ちなみに、上図のような制御系の各要素を信号の流れで表したものをブロック線図といいます。

フィードフォワード制御

フィードバック制御では、偏差をなくすまでに多少の時間がかかることが欠点です。

しかし、あらかじめ外乱による偏差量がわかっているならば、外乱を測定して直接制御量を変化させる方が速く処理できます。

このような方式をフィードフォワード制御といいます。

シーケンス制御

あらかじめ定められた順序にしたがって、制御の各段階を逐次進めていく制御方法をシーケンス制御といいます。

化学プラントでいうと、バッチ操作がシーケンス制御で行なわれていることが多いです。

PID制御

PID制御はほとんどの調節計で採用されており、試験でもほぼ毎年出題されているので非常に重要です。

オンオフ動作

調節弁を全開、または全閉にして制御量を目標値に一致させる手法をオンオフ動作といいます。

最も簡単な動作ですが、制御量が目標値より高くなったり低くなったり、波打つように変動するので、目標値にぴったり一致させることはかなり困難です。

比例動作

オンオフ動作では全開、全閉しかありませんでしたが、調節弁の開度をもっと小刻みに変化させれば、制御量も小刻みに変化させることができます。

調節弁の開度を目標値と測定値の偏差に比例させる方式を比例動作(P動作:Proportional)といいます。

比例動作の調節計出力[%]は、

$$出力=\frac{100}{PB}×e+バイアス$$

PB:比例帯[%]、e:偏差[%]

上の式で表されます。この式を使って計算する問題が出題されたことがあるので、覚えておきましょう。

 

比例動作の調節計で制御すると、制御の時間経過は一般に下図のような傾向を示します。

比例帯が0%のときはオンオフ動作になり、測定値が波打ちます。

比例帯を広げていく(値を大きくする)と、波打つ度合いが小さくなり、十分に大きくすると測定値が波打つことはなくなります。

ただし、比例帯を広げると測定値の動きはゆっくりしたものになり、かつ最終的に偏差が残ります。これをオフセットといいます。

このオフセットは、一般に比例帯が広いほど大きくなります。

積分動作

前述した比例動作のみではオフセットが発生します。このオフセットを調節計で自動的になくすために作られたのが積分動作(I動作:Integral)です。

積分動作は、偏差を時間により積分して出力するもので、通常は比例動作と合わせて比例積分動作(PI動作)として使用します。

微分動作

微分動作(D動作:Derivative)は外乱の影響を速くなくすために作られた動作です。

外乱により制御量が大きく変化した場合に、比例動作の出力では瞬間的に大きい出力を出すことは困難です。

そこで、制御量の変化速度を検出し、これに比例した出力を比例動作出力に加えることで大きな出力を出すことができます。

微分動作単独では自動制御に使用できないので、必ず比例動作、比例積分動作を組み合わせて使用します。

PID動作のラプラス変換表示

PID動作のラプラス変換表示は以下の式で表されます。

$$MV(s)=\frac{100}{PB}(1+\frac{1}{T_{I}・s}+T_{D}・S)E(s)$$

MV(s):出力、E(s):入力、PB:比例帯、TI:積分時間、TD:微分時間

頻出なので覚えておきましょう。

PID定数の調整

語句

下図のように目標値をステップ的に変更した場合を考えます。

このとき、測定値は目標値より高くなったり低くなったりして振動しながら、最終的に目標値に一致します。

一時的に目標値をオーバーした量を行きすぎ量またはオーバーシュートといい、a1/Aで表されます。

 

また、目標値に到達するまで測定値の振動が繰り返されますが、その振幅はどんどん減衰していきます。

この度合いを減衰比といい、a2/a1で表されます。

 

さらに、測定値が制御の目的から許容された範囲に入るまでの時間を整定時間といいます。

このあたりの語句はよく出題されるので覚えておきましょう。

ステップ応答法

ステップ応答法は、制御動作を行なっていない状態で、調節弁開度をステップ状に変化させて測定値の変化を見る方法です。

下図にステップ応答の例を示します。

ある測定値をステップ状に変化させるとこのような挙動を示します。

この図から、

  • L:等価むだ時間
  • T:等価時定数
  • Y/X:プロセスゲイン

の値を求め、制御指標に応じた制御パラメータの値を計算します。

限界感度法

調節計を比例帯だけにして、比例帯を狭くしていき、制御系に持続的な振動を起こさせる方法です。

このときの比例帯と振動の周期を測定します。

ステップ応答と比較してあまり詳細な内容が出題されることはないイメージです。

追値制御

カスケード制御

カスケード制御は、フィードバック制御系において、一つの制御装置の出力信号によって他の制御系の目標値を決定する制御、と定義されています。

例えば燃焼炉内の温度を空気流量で調整する場合、温度調節計の出力信号が、空気流量調節計の目標値となっています。

このときの温度調節計を1次調節計、流量調節計を2次調節計といいます。

比率制御

比率制御は、二つ以上の量の間に、ある比例関係を持たせる制御、と定義されています。

比率制御はボイラーなどの空燃比制御などに使用されています。

プログラム制御

プログラム制御は、あらかじめ定められた変化をする目標値に追従させる制御、と定義されています。

バッチ的に処理するプロセスによく使用されています。

具体的な操作

調節弁による流量操作

ポンプのH-Q曲線の内容が出題されやすいです。以下にH-Q曲線のグラフを示します。

本来、縦軸は揚程Hですが、エネルギー管理士では縦軸が圧力として出題されることが多いようです。意味合いは変わりません。

上図で調節弁開度を小さくして絞ると、圧力損失が増加し、ポンプの流量はA点からB点に移り流量が減少します。

また、上図の圧力損失の内訳は出題されやすいので覚えておきましょう。

おわりに

エネルギー管理士(熱分野)課目Ⅳの計測及び制御の分野について解説しました。

現場に詳しい人ほど得意な分野となっています。

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