化学工学用語集 蒸留

代表的な【規則充填物】を解説:Sulzer・Koch・月島の充填物紹介

2021年1月9日

概要

規則充填物とは、充填塔内に設置した充填物が規則的な構造を持っているもののことをいいます。

規則充填は大まかに2パターンあります。

・不規則充填物をきれいに規則的に詰める。
・金網・シートを束ねたブロック状の充填物を詰める。


前者は、ラシヒリングやカスケードミニリング等の円柱状の不規則充填物をきれいに並べて重ねていく方法です。
ただ、この充填方法下でのデータが少ないため、導入検討したい場合は充填物メーカーに依頼する方が良いでしょう。

一般に、規則充填物と言えば、後者のブロック状の充填物を意味します。

本記事では、ブロック状の規則充填物について、各メーカーの製品を紹介します。

規則充填物の紹介

ブロック状の規則充填物は1965年にSulzer社がスルザーパッキングを開発したのが一番最初です。

それまでの不規則充填物は、液の偏流等の問題があり、塔径が1m程度までの大きさの塔にしか採用されず、蒸留塔のような塔径の大きいものは、棚段(トレイ)が使用されていました。

その常識を打ち破ったのが、この規則充填物です。

不規則充填物は塔内を液が流下するにつれ、液が半径方向に広がり、偏りが生じてしまいます。

一方で、規則充填物は液が横に広がりにくく、ほぼ真下に流下していきます。
この特徴により、塔径が大きくなっても液の偏流が生じづらく、気液接触の効率を維持することができます。
(ただ、注意点として液の分散装置の設計には気を使う必要があります。)

トレイと比較して規則充填物は圧力損失が少ないため、特に真空蒸留系に好んで使用されるようになりました。

その後、各社が様々な規則充填物を開発しています。
以下に、代表的な充填物を紹介します。

Sulzer Packings (スルザーパッキング) 

Sulzer社カタログより引用

Sulzerが一番最初に開発した規則充填物です。
最近のカタログではGauze Packingsという名称に変わっており、Sulzerだけでなく各社が販売しているようです。

金網を細かく折り曲げたものを複数束ねてブロック状の充填物としています。

塔径6mのものまでは納入実績があるとのことです。

充填物サイズ単位体積当たりの表面積
[m2/m3]
空隙率
[%]
Packing factor
(乾燥充填)
[m-1]
スルザーパッキングAX25095-
 BX4929069
 CY70085-
"PERRY'S CHEMICAL ENGINEERS' HANDBOOK 9TH EDITION"より引用

Mellapak (メラパック)

"PERRY'S CHEMICAL ENGINEERS' HANDBOOK 9TH EDITION"より引用

規則充填物の中で最も有名といってもよいくらい代表的な充填物で、Sulzer社が開発しています。

薄板に細かな溝を付け、適度な穴を空けて一定間隔で折り曲げたシートを何層にも重ねて束ねることで製作されています。

カタログでは15mまでの塔径において性能を発揮できるとされており、充填塔が苦手としていた塔径の大きな系にも対応できます。

国内では住友重機械が技術導入してメラパック系の充填物を製作しています。

弊社でも数多くの蒸留塔で採用実績があります。

充填物サイズ単位体積当たりの表面積
[m2/m3]
空隙率
[%]
Packing factor
(乾燥充填)
[m-1]
Mellapak(金属)125Y1259933
 170Y1709939
 2Y2239946
 250Y2509866
 350Y3509875
 500Y50098112
 750Y75097-
 125X1259916
 170X1709920
 2X2239923
 250X2509826
 500X5009882
"PERRY'S CHEMICAL ENGINEERS' HANDBOOK 9TH EDITION"より引用

Flexipac (フレキシパック)

Koch-Glitsch社カタログより引用

1970年代にKoch-Glitsch社が開発した充填物です。

Sulzer社のMellapakと同様に、穴の開いた金属シートを折り曲げたものを複数束ねることでブロックを製作しています。

この充填物に限った話ではないですが、規則充填物は素人目にみるとどれも同じに見えます。

説明文を読んでもイマイチ他社との差別化がなされていない印象なので、化学メーカー担当者としては実績優先して選定せざるを得ません。

Koch社はどちらかというと不規則充填物のイメージが強く、規則充填物はSulzer社が強いイメージですね。

充填物サイズ単位体積当たりの表面積
[m2/m3]
空隙率
[%]
Packing factor
(乾燥充填)
[m-1]
フレキシパック(金属)700Y71096-
 500Y49597-
 1Y4209898
 350Y35098-
 1.6Y2909859
 250Y25099-
 2Y2209949
 2.5Y15099-
 3.5Y809930
 4Y559923
 1X4209852
 350X35098-
 1.6X2909833
 250X25099-
 2X2209923
 2.5X15099-
 3X1109916
 3.5X8099-
 4X5599-
"PERRY'S CHEMICAL ENGINEERS' HANDBOOK 9TH EDITION"より引用

Goodloe Packing (グッドロールパッキング)

"タワーパッキング"より引用

Koch-Glitsch社が開発した充填物です。

金属線を10数本束ねて網を作ります。
この網を巻いたり、折り込んだりしていくことでブロック状の充填物を製作しています。

充填物サイズ単位体積当たりの表面積
[m2/m3]
空隙率
[%]
Packing factor
(乾燥充填)
[m-1]
グッドロール(金属)765101096-
 773192095-
 779264092-
"PERRY'S CHEMICAL ENGINEERS' HANDBOOK 9TH EDITION"より引用

Rombopak (ロンボパック)

"タワーパッキング"より引用

スイスのKuehni社が開発した充填物で、日本では月島環境エンジニアリングが販売しています。

規則充填物にありがちな1枚のシートを折り曲げて作成するタイプではなく、細長い金属片を複数組み合わせてブロック状の充填物を製作しています。

充填物サイズ単位体積当たりの表面積
[m2/m3]
空隙率
[%]
Packing factor
(乾燥充填)
[m-1]
グッドロール(金属)4M151--
 6M230-59
 9M351--
"PERRY'S CHEMICAL ENGINEERS' HANDBOOK 9TH EDITION"より引用

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