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化学工学 蒸留

【xy線図】を特徴的な2成分系ごとに解説:液相・気相の関係図

2021年1月10日

概要

ある2成分の気液平衡関係を表わすグラフのことをxy線図といいます。

例として、上にベンゼン-トルエンのxy線図を示します。

縦軸にベンゼンの気相組成y、横軸にベンゼンの液相組成xをプロットしていることからxy線図と呼ばれます。

ある温度、圧力における2成分の気液平衡組成は、気液平衡曲線上の値となることを意味しており、蒸留塔の設計では気液平衡曲線を求めて使用します。

例えば上図において気液平衡組成は、
ベンゼン液相組成x=0.50のとき、ベンゼン気相組成y=0.72となります。

また、2成分系なので液相・気相それぞれでベンゼンとトルエンの割合を足すと1になりますから、
トルエン液相組成x=0.50、トルエン気相組成y=0.28となります。

上図ではベンゼンの代わりにトルエンの組成をプロットしてもよいのですが、2成分のうち沸点が低い方をプロットするのが蒸留分野の慣習となっています。(ベンゼンの方が沸点が低いです。)

また、通常xy線図には

  • 気液平衡曲線
  • y=xの直線

の2つがプロットされます。

y=xの直線をプロットするのは、この直線と気液平衡曲線の位置関係やお互いが交わるかどうかによって、2成分の気液平衡の特徴を把握できるからです。

xy線図での気液平衡の特徴確認

蒸留分離しにくい系

例えば上図のように気液平衡曲線とy=xの直線が近づいている場合は相対揮発度αが小さいため、蒸留分離がしにくい、あるいは分離するのに塔の段数が多く必要であることを示しています。

蒸留分離しやすい系

逆に上図のように気液平衡曲線とy=xの直線が離れている場合は相対揮発度αが大きいため、蒸留分離がしやすい、あるいは分離するのに塔の段数が少なくすむことを示しています。

理想溶液に近い系

ラウールの法則に従うような理想系かどうかもxy線図で判断できます。

上図のように点線を引き、右側と左側が線対称になれば理想系に近いです。
ベンゼン-トルエンは理想系に近いですね。

共沸点を持つ系

気液平衡曲線とy=xの直線が交わっている場合は共沸点を持つことがわかります。
加えて交わり方によって最低共沸か最高共沸かを判定することができます。

最低共沸系

上の図のようにy=xで上下に分割された領域を考え、上の領域から下の領域へと気液平衡曲線が交わる場合は最低共沸です。
上図はエタノール-ベンゼンの2成分系のxy線図です。

最高共沸系

一方、上図のようにy=xを下の領域から上の領域へと気液平衡曲線が交わる場合は最高共沸となります。
上図はアセトン-クロロホルムの2成分系のxy線図です。

2液相分離する系

2液相を形成する場合もxy線図で判断できます。

上図のように液相組成xが変化しても気相組成yが一定になれば(横の直線部分)、液液分離して2液相を形成しています。
上図はメチルエチルケトン-水の2成分系のxy線図です。

ちなみにこの2成分系は気液平衡曲線がy=xと交わっているので、最低共沸点があることもわかります。