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化学工学 熱力学

【気液平衡】推算方法を解説:状態方程式モデル・活量係数モデルの使い分け

2020年11月17日

概要

化学プラントにおいて気液平衡は多くの機器で取り扱いがあり、重要な物性となっています。

その一方で、2成分間の相互作用を予測するのは非常に難しく、どんな系にも適用できるモデルは今のところ存在しません。
したがって、取り扱う系に応じて気液平衡モデルを使い分ける必要があります。

この記事では気液平衡の推算モデルをいくつか紹介します。

気液平衡推算モデル

気液平衡を推算するモデルは大きく3つに分かれます。

状態方程式(EOS)モデル
活量係数モデル
・その他の特殊モデル

モデルモデル区分モデル具体例高圧
適用
液の非理想性
適用
状態方程式(EOS)
モデル
van der Waals型Redlich Kwong(RK)
Redlich Kwong Soave(SRK)
Peng Robinson(PR)
×
virial型BWRS×
推算EOS型PSRK
活量係数
モデル
活量係数型Margules
van Laar
Wilson
NRTL
UNIQUAC
×
推算型ASOG
UNIFAC
×
その他の
特殊モデル
相関式型蒸気表(Steam Table) 等--

上表に各モデルの具体例をまとめました。

気液平衡モデルの使い分けとして重要なのが、
・高圧であるかどうか
・液の非理想性が高いかどうか

この2点です。

圧力についてはどのくらいの値以上で高圧なのか、という厳密な定義はありません。
このブログでは10atm以上を高圧としています。

1.低圧(1atm以下)、液の非理想性が低い
この場合は状態方程式モデル、活量係数モデルのどちらでも合います。

2.高圧(10atm以上)、液の非理想性が低い
高圧の場合は活量係数モデルを使用できないため、状態方程式モデルを使用します。

3.低圧(1atm以下)、液の非理想性が高い
液の非理想性が高いと状態方程式モデルでは結果にずれが生じてきますので、活量係数モデルを使用します。

4.高圧(10atm以上)、液の非理想性が高い
一番予測するのが難しい条件です。
状態方程式モデルの推算EOS型モデルであれば適用することはできます。ただし、推算には高圧の気液平衡データが必要です。
ちなみに自分は今までこんな系を扱ったことがなく、推算EOS型モデルは使ったことがありません。

圧力が1~10atmの間は区分が難しいところです。
液の非理想性がある場合には活量係数モデルを使用しますが、自分が適用させたい温度・圧力・組成範囲で大きくずれがないことを確認しましょう。

本ブログでは低圧の気液平衡と高圧の気液平衡に分けて、各モデルでの推算精度を比較した記事を書いていこうと思います。

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