概要
UNIFAC(Universal Functional Group Activity Coefficient)式とは活量係数を算出するモデルの1つです。
UNIFAC式は原子団寄与法と呼ばれており、分子構造の加算性を利用して活量係数を推算する方法です。
Wilson式やNRTL式は活量係数の決定に気液平衡の実測データが必要でしたが、UNIFAC法は化合物の化学式さえわかれば活量係数を算出することができます。
UNIFAC式はUNIQUAC式を拡張して、分子間ではなく原子団間の相互作用を表わすように修正しました。
$${\rm{ln}}γ_{i}={\rm{ln}}γ_{i}^{C}+{\rm{ln}}γ_{i}^{R}・・・(1)$$
(1)式はUNIQUAC式と同様で、活量係数γを分子の大きさや形に依存するパラメータγCと、分子間相互作用を表わすパラメータγRの大きく二つに分けています。
$${\rm{ln}}γ_{i}^{C}={\rm{ln}}\frac{Φ_{i}}{x_{i}}+\frac{z}{2}q_{i}{\rm{ln}}\frac{θ_{i}}{Φ_{i}}+l_{i}-\frac{Φ_{i}}{x_{i}}\sum_{j=1}x_{j}l_{j}・・・(2)$$
$$l=\frac{z}{2}(r_{i}-q_{i})-(r_{i}-1)$$
Φ:表面積分率、x:モル分率、q:分子表面積、θ:体積分率
z:定数(z=10)、r:分子体積
γCは(2)式で表されます。
また、γRについては、
$${\rm{ln}}γ_{i}^{R}=\sum_{k}ν_{k}^{(i)}[{\rm{ln}}Γ_{k}-{\rm{ln}}Γ_{k}^{(i)}]・・・(3)$$
$${\rm{ln}}Γ_{k}=Q_{k}[1-{\rm{ln}}(\sum_{m}θ_{m}Ψ_{mk})-\sum_{m}\frac{θ_{m}Ψ_{km}}{\displaystyle\sum_{n}θ_{n}Ψ_{nm}}]$$
(3)式で表されます。
UNIQUAC式と同様にかなり複雑な式となっています。
商用のシミュレーターでは化合物の構造を原子団ごとに入力していきます。
UNIFAC式は気液平衡を実測することが難しい化合物や、シミュレーターに登録されていない新規物質に使用されることが多いです。
一方で、UNIFAC式での気液平衡の推算結果が本当に正しいかどうかは、やはり実測データと比較してみなければわかりません。
弊社では恥ずかしながら、ラウールの法則の理想系で計算するよりはマシだから、という理由でUNIFAC式が選定されていることもあります。
扱う物質の気液平衡データを全て確認してフィッティングすることが理想ではあります。
しかし現実的には案件の検討期間によって、物性確認の時間が削られてしまうこともあります。
そのようなときは気液平衡データがなくても、ある程度の精度で推算ができるUNIFAC式が便利ではあります。