概要
遠心ポンプは駆動機のエネルギーを圧力に変えることはできず、一部は熱に変わります。
ポンプの流量が低下すると、ポンプ効率が低下し熱によるエネルギーロスが多くなることに加えて、流体による温度除去効果も減少するため、ポンプの温度が上昇しやすくなります。
この温度上昇によって引き起こされるトラブル(ポンプの振動、キャビテーション等)を回避するために、常に必要最低限の流量(ミニマムフロー)を確保して運転する手法が挙げられます。
この記事ではミニマムフローについて解説しています。
ミニマムフローバイパス
プロセスの必要流量がミニマムフローを下回る場合は、ポンプの吐出し側からタンクに戻る配管を設置しミニマムフローを確保します。
このラインをミニマムフローバイパスといいます。
バイパスラインの流量をどのように調整するか、いくつか手法が挙げられます。
調節弁方式
ポンプの吐出し側ヘッダ配管に流量計を設置し、その下流の分岐配管に調節弁を設置することで最小許容流量の循環系を確保する方式です。
ポンプの吐出し量が減少して設定値以下となれば、バイパスフローの調節弁が自動的に開きミニマムフローを確保します。
逆にポンプの吐出し量が回復すれば調節弁は自動的に閉止されるため、無駄にバイパスされることを防止します。
全ての系に適用でき他の方式に比べて省エネですが、設置コストが高くなります。
通常運転時にミニマムフロー以下の運転が必要な場合は、この方式が良いでしょう。
制限オリフィス方式
ミニマムフロー配管に制限オリフィスを設置する方式です。
ミニマムフロー流量が過大になると損失が大きくなり、少なくなると温度上昇が発生するため、ちょうど必要最低量が流れるように制限オリフィスを設計します。
この手法ではバイパスラインのバルブを閉止しない限り、常にバイパスラインに流体が流れるため、エネルギー損失が大きくなります。
一時的な低負荷運転が想定される場合や、スタートアップ運転時のみミニマムフロー以下の流量となる場合は、調節弁方式より安く済むこの方式が良いです。
通常運転時はバイパスラインを閉止しておきましょう。
まとめ
ポンプのミニマムフローについて解説しました。
ポンプの安全運転には欠かせない要素であるため、1台1台検討しましょう。