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化学工学 参考書 蒸留

【蒸留の参考書5選】化学メーカーの設計担当者がおすすめ紹介

2021年4月6日

概要

化学メーカーの実務担当者であるブログ管理人が普段参考にしている本の中で、おすすめを紹介します。
今回は蒸留です。

蒸留は化学工学の単位操作の中でも成熟した分野と言われています。
しかし参考書を読んだから蒸留塔の設計ができるようになるかというと、必ずしもそうでもありません。

成熟しているのはあくまでも蒸留の理論であり、蒸留塔の物質収支・熱収支を取るところです。

物性や蒸留塔内部品の設計に関しては未だに苦労することが多く、各参考書やメーカーのカタログを見て検討しています。

参考書紹介

このランキングは、初学者向け~中級者以上向けの参考書まで幅広くランクインしています。

実務では
・気液平衡物性に関する情報
・蒸留塔内部品(トレイ、充填物、ディストリビューター等)の設計手法に関する情報


特に上の2点が重要なので、この2点が比較的多く載っている本が上位にきています。

初学者向けの本は最近発売されたものが多くネットでも買えますが、中級者以上向けの本は絶版になっていることがあり、なかなか手に入らないのが難点です。

1位:"蒸留工学ハンドブック"

出版社朝倉書店
出版年1966年
著者平田光穂(編)
ページ数961
価格絶版・中古のみ?

蒸留関係の参考書でよく使います。
蒸留部門での圧倒的1位です。

出版年の古さを感じさせないくらい多くの学びを得ることができます。
蒸留の基礎理論からトレイの設計、充填物の紹介まで幅広い内容が載っています。

さすがに出版年以降に開発されたトレイや充填物は載っていませんので、適宜各メーカーのカタログ等から最新の情報は仕入れる必要があります。

それ以外の蒸留理論はこれ1冊で十分です。

ただ、この本は絶版になっているようで、Amazonと楽天のサイト検索にはなかったです。
もし中古で出回ることがあれば、ぜひオススメしたい1冊です。

2位:"新版 蒸留の理論と計算"

出版社工学図書
出版年1957
著者河東準(著)
岡田功(著)
ページ数504
価格絶版、中古のみ?

1位には少し内容が劣るものの、この本も良書です。

この本が出版されたころは、汎用的なトレイや充填物が数多く使用されており、設計データをある程度ユーザーが確認できる時代だったようです。この本にも細かい実験式等がたくさん載っています。

今の時代でも、汎用トレイ・充填物並みの能力しか出ないと仮定して計算することがありますので、古いトレイや充填物のデータでも参考になります。

しかし1位の蒸留工学ハンドブックと同様に絶版となっているようです。
大学の図書館や会社の本棚にあればラッキーです。

3位:"PERRY'S CHEMICAL ENGINEER'S HANDBOOK 9TH EDITION"

出版社McGraw-Hill
出版年2018
著者Don W.Green(編集)
ページ数2272
価格20,229円

Perryのハンドブックの最新版です。伝熱の参考書ランキングに引き続き蒸留でもランクインしました。

蒸留の理論はもちろんのこと、トレイや充填物、その他内部品の写真が豊富でイメージが湧きやすいです。
各単位操作で非常にレベルの高い内容が書いてあり、蒸留以外の分野でも使えるのでオススメです。

4位:"実践 蒸留プラント設計"

出版社日刊工業新聞社
出版年2009
著者相良絋(監修)
ページ数192
価格2,640円

1~3位の参考書と比べて、価格が安く初学者向けです。
Amazonに書いてあるレビューは辛口だった気がしますが、個人的には初学者向けとして悪くないと思います。

1通りの蒸留塔設計から、付帯設備の熱交換器の設計まで載っています。
もちろんページ数が少ないため情報量は限られますが、大まかな理解を得るには十分でしょう。

ただ、ある程度業務に慣れてくると使わなくなるため、やはり初学者向けです。

5位:"絵とき 蒸留技術基礎のきそ"

出版社日刊工業新聞社
出版年2009
著者大江修造(著)
ページ数223
価格2,420円

物性推算、蒸留分野で有名な大江先生の著書です。
今の会社に転職して最初に、とりあえずこれを読んで勉強しておいて、と渡された思い出があります。

初学者向けにこれでもかとわかりやすく書いてあります。
蒸留の"じ"も知らないレベルの人ならこのくらいの本から入った方が良いかもしれません。

他にも大江先生の著書は、特に物性推算関連で中級者以上向けの本があり、よく使います。

まとめ

私が実務で使用している蒸留の参考書を紹介しました。
良いと思う本は絶版になっていることが多く、非常に残念です。

このブログではそのような本から得た知識をもとに記事を書いておりますので、少しでも知識の伝承をしていければと思います。