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プラント設計 計測機器

【温度計】の種類・特徴について解説

2024年3月25日

概要

温度計は私たちの日常生活で当たり前に使用されていますが、工場においても重要な計測機器の1つです。

工場では場合によって、より高い温度(1,000℃以上)からより低い温度(-100℃以下)まで測定する必要があり、その温度に耐えうる温度計が必要です。

また、温度をより厳密に管理したい装置があるときは、測定精度の良い温度計が求められることもあります。

そのため、測定対象に適した温度計を選定する必要があります。

本記事では温度計の種類や長所・短所などを解説しています。

温度計の種類

熱電温度計

いわゆる"熱電対"を使用する温度計です。

異種金属の接合2点間の温度差で起電力が発生するゼーベック効果を利用しています。

長所

  • 低温から高温まで広い温度範囲の測定が可能
  • 構造が簡単で扱い易い
  • 価格が比較的安い
  • 応答が良い
  • 振動・衝撃に強い

短所

  • 基準接点の温度補償が必要
  • 高温測定や長時間測定により熱電対が劣化し、熱起電力が変化する
  • 測定精度は抵抗温度計よりやや劣る

 

熱電温度計の詳細は以下の記事で解説しています。

【熱電温度計】について解説:熱電対の原理や種類

熱電対を使用する温度計を熱電温度計といいます。熱電対は異種金属線を末端で接合したもので、線間に生じる熱起電力により温度を知ることができます。熱電温度計は工業用温度計として多用されているものの1つで、構造が簡単で扱い易い、比較的安い等の特徴があります。

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抵抗温度計

金属や非金属の電気抵抗が温度によって変化することを利用した温度計です。

長所

  • 大きい出力が得られる
  • 温度補償が不要
  • 経時変化が少なく安定性が良い
  • 熱電対より精度が良い

短所

  • 測定温度の上限が熱電対より低い(650℃程度)
  • 熱電対に比べて、測温体の構造が複雑で寸法が大きい
  • 強い振動がある対象には適さない

抵抗温度計の詳細は以下の記事で解説しています。

【抵抗温度計】について解説:電気抵抗を利用した温度計

金属や非金属の電気抵抗が温度によって変化することを利用した温度計を抵抗温度計といいます。工業用途の温度計の中では、熱電対を使用する熱電温度計と並んでよく使用されます。

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放射温度計

熱放射のエネルギーと温度には一定の関係があることを利用した温度計です。

長所

  • 原理的に測定温度の上限がなく、高温測定に適する
  • 移動物体や回転体の測定が可能
  • 遠隔測定(非接触測定)が可能
  • 被測定物の温度を乱すことが少ない
  • 原理的に応答が速い

短所

  • 物体の放射率により測定精度が左右される
  • 測定対象の近くに高温物体があると、大きな誤差を生じる
  • 放射温度計と測定対象の間に物質(透明な気体でも)があると、測定に影響与えることがある

放射温度計の詳細は以下の記事で解説しています。

【放射温度計】について解説:放射伝熱を利用した非接触温度計

熱放射エネルギーを測定し温度を求める温度計を放射温度計といいます。非接触の温度計で簡便に測定できるのがメリットですが、高精度な測定は難しく大まかな温度を知るのによく使用されます。

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ガラス製温度計

ガラスでできている毛細管の中に水銀やアルコール等の液体(感温液)を封入した温度計です。

中の液体が温度上昇により体積膨張することを使用しています。

長所

  • 簡便なわりに測定精度も高い
  • 価格が安い

短所

  • 衝撃に弱く、破損しやすい
  • 肉眼で温度指示を読み取ることが必要

充満式温度計

容器内に封入した流体(気体または液体)の圧力が温度によって変化することを利用した温度計です。

長所

  • 簡便に使用できる
  • 価格が安い
  • 電源が不要であるため、現場計器等に適している
  • 振動・衝撃に強い

短所

  • 測定精度は熱電温度計や抵抗温度計に劣る
  • 感温部と指示部を離して設置するには、長い導管が必要となる

バイメタル式温度計

熱膨張率の異なる2枚の金属を貼り合わせると、温度変化により板が湾曲します。

バイメタル式温度計はこの性質を利用しており、バイメタル板をつる巻状に成型し、端部に指針を付けることで温度変化を読み取らせています。

長所

  • 構造が簡単で故障が少ない
  • 電源が不要であるため、現場計器等に適している

短所

  • 板の湾曲により温度変化を感知するため、応答速度が遅い
  • 振動に弱い
  • 他の温度計と比較して測定精度が悪い

各種温度計の比較

使用温度範囲

各種温度計の大まかな温度範囲を以下の表にまとめました。

測定精度

各種温度計の大まかな測定精度を以下の表にまとめました。tは温度[℃]です。

温度計許容差
熱電温度計
(主要温度範囲
のみ記載)
  B熱電対(600~1,700℃):±0.0025|t|(クラス2)
  R熱電対(600~1,600℃):±0.0025|t|(クラス2)
K熱電対(375~1,000℃):±0.004|t|(クラス1)
   E熱電対(375~800℃):±0.004|t|(クラス1)
    J熱電対(375~750℃):±0.004|t|(クラス1)
   T熱電対(125~350℃):±0.004|t|(クラス1)
抵抗温度計   クラスAA:±(0.10℃+0.00017|t|)
  クラスA:±(0.15℃+0.002|t|)
  クラスB:±(0.30℃+0.005|t|)
クラスC:±(0.60℃+0.01|t|)
放射温度計物体の放射率に依存し、
精度は低い
ガラス製温度計要件によるが、±0.5~2.0℃程度
充満式温度計1.0級:±1.0%(液体充満式)
1.5級:±1.5%(液体充満式)
2.0級:±2.0%(液体充満式)
バイメタル温度計精度が良いものでも±2~3℃程度

熱電温度計、抵抗温度計等は許容差がJISによって定められています。

まとめ

温度計について解説しました。

温度計の種類や原理によって、様々な長所・短所があります。なるべく用途に合った温度計を選定しましょう。