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化学工学 吸収・放散

【吸収塔】段塔型吸収塔の理論段数の計算方法を解説

2020年12月18日

概要

段塔型吸収塔の理論段数計算について紹介します。

基本的には蒸留における理論段数計算と同じで、操作線と平衡線の連立方程式を段ごとに解いていくことで理論段数を求めることができます。

操作線の式

操作線の式は一般に、

$$G(\frac{y_{A}}{1-y_{A}}-\frac{y_{AT}}{1-y_{AT}})=L(\frac{x_{A}}{1-x_{A}}-\frac{x_{AT}}{1-x_{AT}})・・・(1)$$

(1)式で表されます。
ガス吸収量が小さい場合は簡略化でき、

$$y_{A}=\frac{L}{G}(x_{A}-x_{AT})+y_{AT}・・・(2)$$

L:液流量、G:ガス流量、yA:成分Aのガス分率、xA:成分Aの液分率
yAT:成分Aの塔頂におけるガス分率、xAT:成分Aの塔頂における液分率

(2)式で表されます。

平衡線の式

平衡線の式は一般にHenryの法則から、

$$y_{A}^{*}=mx_{A}・・・(3)$$

(3)式で表されます。

これらの操作線と平衡線の式を解いていくことで理論段数を決定できます。
ここでは、(2)と(3)式を階段作図で解いてみます。

吸収塔の階段作図は塔頂から始めます。
上図の左下からです。

塔頂におけるガス吸収後の出口ガス濃度はスペックとして自分で決める値です。
ここではyATとおきます。

また、塔頂にフィードする吸収液はワンパスと考えると、xAT=0となります。
よって、(xA,yA)=(0,yAT)の点から階段作図がスタートします。

操作線上の(xA,yA)=(0,yAT)から、平衡線に向かって水平に直線を引きます。
平衡線との交点は(3)式にyA=yATを代入することで計算でき、(xA,yA)=(yAT/m,yAT)となります。

次に(xA,yA)=(yAT/m,yAT)の点から上に垂直な線を引き、操作線との交点を求めます。
(2)式にxA=yAT/mを代入することで計算でき、(xA,yA)=(yAT/m,L/G(yAT/m-xAT)+yAT)となります。

以下同様に、平衡線に向かって水平に直線を引く操作と、上に垂直な線を引く操作を繰り返します。

最終的に、操作線上の塔底の点(xA,yA)=(xAB,yAB)のx座標であるxA=xABを跨いだところで繰り返し操作を終了します。

最後に作図した階段数を数えることで吸収塔の理論段数を知ることができます。

最後の作図線が跨いだ段は、線分の比を取ることで段数を算出します。
上図の場合の最終段は0.5段となり、塔全体の合計段数は4段+0.5段=4.5段となります。


ちなみに、蒸留塔の階段作図の場合はリボイラーが塔底にあると塔内の段数をマイナス1段としていました。
一方で、吸収塔は普通リボイラーを設置しませんので、このまま4.5段が理論段数となります。