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高圧ガス甲種 資格

【高圧ガス法令】高圧ガス保安法の出題内容を解説

2021年10月8日

概要

この記事では高圧ガス製造保安責任者試験の法令分野のうち、高圧ガス保安法から出題される内容について解説します。

法令は毎年11月の国家試験で受験する必要があります。5月の検定試験で学識と保安管理技術に合格していれば、11月の国家試験では法令のみに専念して勉強できます。

国家試験で学識、保安管理技術、法令の3科目を受験して合格するのはかなり難易度が高いため、なるべく検定試験を受けることをオススメします。

高圧ガス保安法の出題数

試験で出題される法令問題は、基本的に全て高圧ガス保安法から出題されています。

ただし高圧ガス保安法の中にさらに厳しい規則としてコンビナート等保安規則を始めとした様々な規則が定められています。

この記事では純粋に高圧ガス保安法の中から出題される問題について紹介します。

(※ただし、様々な法規や規則が複合した問題が多いので出題分野の区分けは主観的です。)

高圧ガス保安法の分野は全20問中、毎年3~4問ほど出題されています。

この分野はスタンダードな内容が多く、試験に出なかったとしても知っておきたい内容が多いです。

高圧ガス保安法の出題内容

過去に出題頻度の高かったものをピックアップして紹介します。

法第1条:高圧ガス保安法の目的

高圧ガスの保安法の目的はほぼ毎年問われています。

この法律は、高圧ガスによる災害を防止するため、高圧ガスの製造、貯蔵、販売、移動その他の取扱及び消費並びに容器の製造及び取扱を規制するとともに、民間事業者及び高圧ガス保安協会による高圧ガスの保安に関する自主的な活動を促進し、もつて公共の安全を確保することを目的とする。

https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=326AC0000000204

高圧ガスの取扱や規制だけではなく、保安に関する自主的な活動を推進している点を覚えておきましょう。

法第2条: 高圧ガスの定義

高圧ガス製造保安責任者の資格を取ろうと勉強する者としては、絶対に覚えておきたい内容です。

試験にも毎年1問ほど出題されています。

高圧ガス
区分
対象ガス圧力(ゲージ圧)温度
圧縮ガス空気、酸素、窒素、水素、ヘリウム
アルゴン、一酸化炭素、メタンなど
現に1MPa以上
1MPa以上
常用温度
35℃以上
圧縮アセチ
レンガス
アセチレン現に0.2MPa以上
0.2MPa以上
常用温度
15℃以上
液化ガスアンモニア、塩素、二酸化硫黄
液化石油ガス、酸素、窒素など
現に0.2MPa以上
0.2MPa
常用温度
35℃以下
その他の
液化ガス
液化シアン化水素
液化ブロムメチル
液化酸化エチレンなど
0MPaを超えるもの35℃

キーワードだけざっとまとめましたが、正確な定義の文言は参考書等で確認しましょう。

ちなみに、"現に1MPa以上"と"1MPa以上"という表記は明確に違いがあります。

例えば圧縮ガスを例にとりますが、

  • 常用温度で現に1MPa以上:常用温度で1MPa未満であれば高圧ガスにならない。
  • 35℃以上で1MPa以上:35℃以上で1MPa以上になる性状のガスは高圧ガスとなる。実際に使用する圧力が1MPa未満であっても高圧ガスの扱いとなる。

となります。

この辺の意味合いを理解していないと引っ掛け問題で間違えやすいので要注意です。

法第3条等: 高圧ガス保安法の適用を除外されるもの

たまに出題されます。定義の上で高圧ガスになってしまうものでも他の法令で規制されている、危険性が低い等の理由で高圧ガス保安法の適用を除外されているものがあります。

化学プラントに関わりそうなものでは、

  • 高圧ボイラー・同導管内の高圧蒸気
  • 電気工作物内の高圧ガス
  • 3トン未満の冷凍設備内の高圧ガス(CO2、不活性フルオロカーボンは5トン)
  • 圧縮装置内の温度35℃における圧力が5MPa以下の空気、不活性ガス
  • 液化ブロムメチル製造のための設備外における該当ガス
  • オートクレーブ内の高圧ガス(水素、アセチレン、塩化ビニルを除く)

等があります。

オートクレーブに関する設問が意外と出やすいので覚えておきましょう。"オートクレーブ内の高圧ガスは種類によらず高圧ガス保安法の適用を受けない"、といった引っ掛け問題が過去に出題されています。

法第5条等: 第一種ガス・第二種ガス

第一種ガスを製造する設備か、それ以外のガスを製造する設備かで適用法規が異なってきます。

  • 第一種ガス:ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン、ラドン、空気、窒素、二酸化炭素、フルオロカーボン
  • 第二種ガス:それ以外のガス

第一種ガスは災害発生の恐れが比較的小さいものが指定されています。希ガス等の不活性ガスが多いですね。

危なそうなガスは全て第二種です。

法第5条等: 製造事業所の許可・届出の区分

毎年ほぼ必ず選択肢に挙がっています。紛らわしい選択肢が多く、内容を正確に覚えていないと間違えやすいです。

まず高圧ガスの製造者かどうか、あるいは製造するガスの種類によって製造者の区分が異なります。

  • 第一種製造者:都道府県知事等への製造許可+製造基準の順守
  • 第二種製造者:都道府県知事等への製造事業届出+製造基準の順守
  • 製造を業としないその他の製造者:製造基準の順守



製造するガスの種類と処理能力によって許可が必要か、届出のみで済むかが変わります。

高圧ガスの
種類
許可
第一種製造者
届出
第二種製造者
第一種ガス以外の
ガス設備
100m3/日以上100m3/日未満
第一種ガス+第一種ガス以外の
ガス設備
計算値T≦処理能力の合算値
T=100+2/3×S
S:第一種ガスの処理能力
計算値T>処理能力の合算値
T=100+2/3×S
S:第一種ガスの処理能力
第一種ガス設備300m3/日以上300m3/日未満

第一種ガス以外のガス設備を製造する場合は厳しく、100m3/日以上で都道府県知事等に許可を受ける必要があります。

第一種ガスと第一種ガス以外のガスを両方製造する場合で、処理能力の合算値Sが100~300m3/日と微妙なラインにあるときは表中の計算式で計算し、許可が必要か届出で済むのかを判断します。

法第15条等: 貯蔵所の許可・届出の区分

貯蔵所も同様に頻出の事項です。

まず貯蔵するガスの種類によって貯蔵所の区分が異なります。

  • 第一種貯蔵所:都道府県知事等への貯蔵許可+貯蔵基準の順守
  • 第二種貯蔵所:都道府県知事等への貯蔵事業届出+貯蔵基準の順守
  • 上記貯蔵所以外での貯蔵:貯蔵基準の順守



続いて、貯蔵能力による区分です。

高圧ガスの
種類
許可
第一種貯蔵所
届出
第二種貯蔵所
第二種ガス1000m3以上1000m3未満
第一種ガス+第二種ガス計算値N≦処理能力の合算値
N=1000+2/3×M
M:第一種ガスの容積
計算値N>処理能力の合算値
N=1000+2/3×M
M:第一種ガスの容積
第一種ガス3000m3以上3000m3未満

考え方は事業所の許可・届け出と同じです。

第二種ガスは1000m3、第一種ガスは3000m3を境目として許可・届出の対応が変わります。

第一種ガス+第二種ガスの場合は、傾向として第一種ガスの割合が大きいと計算値Nが大きくなり届出で済むことがあります。逆に第二種ガスの割合が大きいと計算値Nが小さくなるので許可を受ける必要があります。

試験では計算値Nと処理能力の合算値がちょうど一致するような問題が出やすいです。一致した場合は許可が必要となります。

また、第一種貯蔵所の許可を受けなくてよいケースも試験にでやすいです。

  • 第一種製造者が製造の許可を受けたところに従って高圧ガスを貯蔵するとき
  • 液化石油ガス法の供給設備もしくは貯蔵施設で液化石油ガスを貯蔵するとき

以上、どちらかのケースに該当する場合は、重ねて第一種貯蔵所の許可を受ける必要はないです。

法第14条等: 第一種製造者の変更工事

変更工事に関する内容もほぼ毎年出題されています。

工事内容許可・届出完成検査
要否
適用条件
完成検査が
必要な工事
許可要特定変更工事
完成検査が
不要な工事
許可要 不要①ガス設備の取替または設置位置変更の
工事であり、設備の処理能力の
変更が20%以内であること。
②処理能力が100m3/日未満の製造設備に
係る変更工事であり、他の製造設備と
ガス設備で接続されておらず、他の設備の
機能に支障を及ぼさないもの。
軽微な変更
の工事
届出要不要処理能力の変更がないもの等

過去に出題されやすかった内容として、製造する高圧ガスの種類を変更するときは都道府県知事などに許可を受ける必要があります。

法第20条等: 販売事業の届出

2年に1回くらいは出題されています。

  • 販売所ごとに事業開始の20日前までに知事に届け出なければならない。
  • ただし、第一種製造者が製造の許可を受けた高圧ガスを製造し、その事業所で販売するときは届出が不要。

上の2点をよく覚えておきましょう。

法第24条等: 消費の規制

高圧ガスの販売・消費・廃棄のうち、どれかは毎年試験に出ています。3つの中でも消費は割と出やすい方かと思います。

一定の危険性が想定されるガスは一定量貯蔵して消費する場合に、特定高圧ガス消費者として規制されます。

  • 特殊高圧ガス(7種):容積に関わらず(モノシラン、ホスフィン、アルシン、ジボラン、セレン化水素、モノゲルマン、ジシラン)
  • 圧縮水素:300m3以上
  • 圧縮天然ガス:300m3以上
  • 液化酸素:3000kg以上
  • 液化アンモニア:3000kg以上
  • 液化石油ガス:3000kg以上
  • 液化塩素:1000kg以上
  • 上記以外の高圧ガス:消費事業所に貯蔵せず、他事業所から導管で受けて消費する

消費関連で出題されやすいのは、

  • 特定高圧ガス消費者は事業所ごとに消費開始の20日前までに都道府県知事等に届出をする必要がある
  • 第一種製造者、第一種貯蔵所であっても別途届出が必要である

以上の2点です。販売と違って、第一種製造者であっても別途届出が必要な点は注意しましょう。

法第36条等:危険時の措置

出題頻度が高い割にはわかりやすい分野です。

危険時の措置について、法規の文章に近い文言で出題されます。

高圧ガスの製造のための施設、貯蔵所、販売のための施設、特定高圧ガスの消費のための施設又は高圧ガスを充てんした容器が危険な状態となつたときは、高圧ガスの製造のための施設、貯蔵所、販売のための施設、特定高圧ガスの消費のための施設又は高圧ガスを充てんした容器の所有者又は占有者は、直ちに、経済産業省令で定める災害の発生の防止のための応急の措置を講じなければならない。

https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=326AC0000000204

第一種製造者、第二種製造者に関わらず危険時には応急の措置をする必要があります。

まとめ

高圧ガス保安法から出題される内容について解説しました。

基本となる法令や規則が多いのでよく勉強したい分野です。