化学工学用語集 物性

【ギブス自由エネルギー】を解説:化学反応や相変化の進行方向を表わす

2020年11月12日

概要

エンタルピーH、温度T、エントロピーSを使用して

$$G=H-TS・・・(1)$$

(1)式で定義される状態量Gのことをギブス自由エネルギーといいます。
ある系の変化はギブス自由エネルギーGが最小になる方向に進むとされています。

ギブス自由エネルギーもエントロピーと同様に抽象度の高い概念で、実務でも直接計算することはほとんどないため理解し難いものかと思います。

しかし化学プラントの中でギブス自由エネルギーの概念は至る所で使われています。
例えば反応器での化学反応、蒸留塔での気液平衡、熱交換器でのガス凝縮、デカンターでの液液分離など挙げればきりがありません。

要するに化学反応や相平衡はギブス自由エネルギーが最小になる方向に進むので、私たちはそれを理解したうえで加えるエネルギーを調節し、工業的に望ましい方向に導いているのです。

2成分の混合について

エントロピーの記事では2成分の混合エントロピーΔSmixについて紹介しました。

$$ΔS_{mix}=-R(n_{1}lnx_{1}+n_{2}lnx_{2})$$

2成分を混合させると必ずΔSmix>0となるので混合が進むという内容です。

しかし世の中には水と油のような相分離して混合しないものもありますよね。
相分離はエントロピーの概念だけでは説明できず、ギブス自由エネルギーを考慮する必要があります。

$$ΔG_{mix}=ΔH_{mix}-TΔS_{mix}$$

混合によるギブス自由エネルギーの変化は上式で表されます。

相分離せず混合する系では混ざった方が安定であるのでΔHmix<0となっています。
しかし水と油のような分子間の反発が強いものを混ぜるとエネルギー的に不安定な状態となり、ΔHmix>0となります。

よってΔHmixとTΔSmixの大小関係で混ざるかどうかが決まります。

TΔSmixの項が大きければΔGmixを小さくするために混合する方向に進行します。
逆にΔHmixの項が大きければ混合するとΔGmixが大きくなってしまうので、その方向には進行しません。

よって混合せずに相分離した状態を保つ、ということになります。

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