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化学工学 蒸留

【Txy線図】を解説:温度・液相組成・気相組成の関係図

2021年1月14日

概要

ある2成分において、圧力を一定とした場合の液相組成x、気相組成y、温度Tの関係を表わすグラフのことをTxy線図といいます。

上図のように縦軸に温度T、横軸に液相組成xと気相組成yをプロットしたグラフがTxy線図です。

図の下側の線は沸点曲線といい、混合液が蒸発し始める温度を表わしています。
図の上側の線は露点曲線といい、混合ガスが凝縮し始める温度を表わしています。

一般的に温度が低い方が物質は液に凝縮しやすく、温度が高いと蒸発して気体になりやすいです。

したがって図の点Aは沸点曲線より下側にあるため、液の状態となります。

点Aから温度を上げていき、点Bに達すると液が蒸発し始めます。
この点Bがその温度、圧力、組成における混合物の沸点となります。

さらに温度を上げて点Cに達すると、液体と気体の混合状態となります。
どのような組成で液体と気体に分かれるかは、てこの原理に従います。

上図で言うと、液相組成は点C'、気相組成は点C’’となります。

さらに温度を上げて点Dに達すると、完全に液が蒸発し終わります。
この点Dがその温度、圧力、組成における混合物の露点となります。

このように温度と混合物の状態は密接に関係があります。
一般に蒸留塔は圧力一定で運転することが多いため、Txy線図を利用すると運転方法を考えやすいです。

Txy線図での気液平衡の特徴確認

Txy線図の形で、気液平衡の特徴を確認することができます。

共沸

共沸点が存在する2成分系は、Txy線図を確認すればすぐにわかります。

最低共沸

共沸は2種類ありますが、最低共沸を示す系の方が圧倒的に多いです。

上のグラフはエタノール-ベンゼンの2成分系のTxy線図です。

最低共沸は各成分の純物質の沸点より共沸点が低くなるのが特徴です。

これは裏を返せば、低い温度で沸騰させて気体にすることができるということで、うまく利用すれば蒸留分離にかけるエネルギーを削減することができます。

そのため、あえて共沸するような第3成分を加えて共沸させる蒸留方法も存在します。
この方法は共沸蒸留と呼ばれます。

最高共沸

最高共沸を示す系は最低共沸よりも少ないです。

上のグラフはアセトン-クロロホルムの2成分系のTxy線図です。

最高共沸は各成分の純物質の沸点より共沸点が高くなるのが特徴です。

気液平衡活量係数モデルでよく使用されるWilsonモデルやNRTLモデルでは最高共沸の2成分系を精度良く表すことは難しく、UNIQUACモデルの方がよく合うとされています。