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化学工学 無次元数

【シュミット数】について解説:速度境界層と濃度境界層の厚みの比

2023年10月30日

概要

速度境界層の厚みと濃度境界層の厚みの比を表わす無次元数をシュミット数Scといいます。

$$Sc=\frac{ν}{D}=\frac{μ}{ρD}・・・(1)$$

Sc:シュミット数[-]、ν:動粘度[m2/s]

D:拡散係数[m2/s]、μ:流体粘度[Pa・s]、ρ:密度[kg/m3]

シュミット数の定義は(1)式で表されます。

シュミット数Scが大きいほど、速度境界層の厚みが大きくなり、逆に小さいほど濃度境界層の厚みが大きくなります。

シュミット数Sc=1のとき、速度境界層の厚みと濃度境界層の厚みがちょうど一致します。

実用上は、シャーウッド数Shがシュミット数、レイノルズ数の関数となっており、シャーウッド数に含まれる物質移動係数kを算出するのにシュミット数が使用されます。

代表的な物質のシュミット数

空気中のシュミット数

空気中(25℃、1atm)における各気体のシュミット数を以下に示します。

拡散物質シュミット数Sc[-]拡散物質シュミット数Sc[-]
CO20.94n-オクタン2.58
CS21.45ベンゼン1.76
H20.22トルエン1.84
H2O0.60キシレン2.18
NH30.66エチルベンゼン2.01
O20.75プロピルベンゼン2.62
エチルエーテル1.66ジフェニル2.28
メタノール0.97臭化プロピル1.47
エタノール1.30ヨウ化プロピル1.61
プロパノール1.55クロロベンゼン2.12
ブタノール1.72クロロトルエン2.38
ギ酸0.97ジエチルアミン1.47
酢酸1.16ブチルアミン1.53
プロピオン酸1.56アニリン2.14

"化学工学便覧 改訂第3版"より引用

一般に、気体拡散におけるシュミット数は1前後の値となることが知られています。

ただし、粘度や密度は温度依存性があるため、シュミット数の値も温度によって変化する点には注意しましょう。

液中のシュミット数

液中(20℃)における各気体のシュミット数を以下に示します。

溶質溶媒シュミット数Sc[-]溶質溶媒シュミット数Sc[-]
Br2840酢酸1,140
Cl2710ショ糖2.230
CO2670尿素946
H2169ハイドロキノン1,300
HCl381ピロガロール1,440
HNO3390フェノール1,200
H2S615ブタノール1,310
H2SO4580プロパノール1,150
NH3492メタノール785
N2529CO2エタノール445
N2O574クロロホルムエタノール1,330
NaCl745フェノールエタノール1.900
NaOH665クロロホルムベンゼン350
O2482酢酸ベンゼン384
アセチレン557二塩化エチレンベンゼン301
エタノール1,005フェノールベンゼン479
グリセリン1,400

"化学工学便覧 改訂第3版"より引用

一般に、液中の拡散におけるシュミット数は1,000前後の値となることが知られています。

まとめ

シュミット数について解説しました。

物質移動を扱う場合は計算することがあるかもしれません。