概要
この記事では高圧ガス製造保安責任者試験の法令分野のうち、容器保安規則から出題される内容について解説します。
法令は毎年11月の国家試験で受験する必要があります。5月の検定試験で学識と保安管理技術に合格していれば、11月の国家試験では法令のみに専念して勉強できます。
国家試験で学識、保安管理技術、法令の3科目を受験して合格するのはかなり難易度が高いため、なるべく検定試験を受けることをオススメします。
容器保安規則の出題数
全20問中、毎年2問ほど出題されています。
他の分野に比べると出題内容が絞れるので勉強しやすく、点の取りやすい分野だと思います。
容器保安規則の出題内容
過去に出題頻度の高かったものをピックアップして紹介します。
容器則第8条:容器の刻印事項
出題頻度が高い内容です。
容器検査に合格した容器には所定の刻印を行なう必要があります。
- 検査実施者の名称の符号
- 容器製造業者の名称またはその符号
- 充填すべき高圧ガスの種類
- 容器の記号及び番号
- 内容積
- 附属品を含まない容器の重量
- アセチレンガスを充填する容器の質量
- 容器検査合格年月
- 充填可能期限年月日
- 耐圧試験における圧力
- 最高充填圧力
- 高強度鋼であることの記号
- 容器の胴部の肉厚
- 胴部の繊維強化プラスチック部分の許容傷深さ
過去には内容積や最高充填圧力に関連する問題が出題されました。
特に刻印すべき内容が似たような文言(ex.最大充填質量、最高充填質量など)になっていることが多く、正確に覚えていないと正解できません。
容器則第18条等:附属品の刻印事項
容器の刻印と同様に比較的出題頻度が高いですが、少し細かい内容が出題される場合もあり難しい分野です。
- 附属品検査合格年月日
- 検査実施者の名称の符号
- 附属品製造業者の名称又はその符号
- 附属品の記号・番号
- 附属品の質量
- 耐圧試験における圧力
- 附属品が装置されるべき容器の種類
- 液化水素運送自動車用容器に装置する安全弁
この中でも特に"附属品が装置されるべき容器の種類ごとに定められた刻印をする"必要がある、という点が過去には多く出題されています。
さらに細かくは特定のガスについて刻印のアルファベットまで問われたこともあります。かなり難問ですね。
容器則第10条:容器の表示事項
容器の刻印と同様に比較的出題頻度が高いです。
容器検査に合格し容器を引き渡された所有者は、所定の表示を容器に行なう必要があります。
- 高圧ガスの名称
- 高圧ガスの性質を示す文字:可燃性ガス「燃」、毒性ガス「毒」
- 容器の外表面積の1/2以上に所定の塗色
塗色は、
- 酸素ガス:黒色
- 水素ガス:赤色
- 液化炭酸ガス:緑色
- 液化アンモニア:白色
- 液化塩素:黄色
- アセチレンガス:褐色
- その他の高圧ガス:ねずみ色
以上の色となっています。各物質の色のイメージですが、
- 酸素ガス:夜明け前の暗いときは酸素が多いので黒のイメージ
- 水素ガス:燃える赤い火のイメージ
- 液化炭酸ガス:CO2を吸収する植物のイメージ
- 液化アンモニア:トイレの壁のイメージ
- 液化塩素:塩つながりでたくあんの色のイメージ
- アセチレンガス:アセ(汗)でできる褐色のシミのイメージ
以上のように一般的に言われています。
その他注意点として、
- 容器の刻印とは別に容器の表示はする必要がある。
- 容器再検査に合格した場合も同様に表示をする必要がある。
- 高圧ガスを容器で輸入し輸入検査に合格したときは、その容器に表示をする。
等が挙げられます。
容器則第24条:容器の再検査期間
2年に1問くらいは出題されています。
容器の種類で再検査期間が異なります。
- 溶接容器:容器製造後の経過年数による
- 一般継ぎ目なし容器:一律5年(旧容器は3年)
- 一般複合容器:一律3年
一般継ぎ目なし容器や複合容器は容器製造後の経過年数によらないのがポイントです。
容器則第56条:容器・附属品のくず化処分
2年に1問くらいは出題されています。
次に該当するものは遅滞なく、くず化し処分しなければなりません。
- 容器検査・附属品検査に不合格のもので、充填するガスの種類・圧力を変更しても規格不適合のもの
- 容器再検査・附属品再検査に不合格のもので、3か月以内に刻印等がされないもの
- 廃棄する容器・附属品
比較的覚えやすく簡単です。
まとめ
容器保安規則から出題される内容について解説しました。
プラントで働いている人であれば、容器保安規則についてはすでに知っているところも多いのではと思います。