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化学工学 蒸留

【ローディング】を解説:蒸留塔の理論上の最高効率点

2020年12月20日

概要

充填塔の操作において液流速を一定に保ち、ガス速度を増加させていった場合に、ガス速度がある値を超えると、ガスの圧力損失が急激に増加し、液ホールドアップが増加し始めます。

この点をローディング、もしくはローディング点といい、このときのガス速度をローディング速度といいます。

上図に示すように、ローディング速度は充填塔の効率を表わす値であるHETPと関係があります。
縦軸がHETP、横軸がガス流速Gのグラフです。

蒸気流量が極端に少ないA~Bの領域は、気液接触の効率が悪く、HETPが高くなる傾向にあります。

そこから、ガス速度を増加させていき、C点を超えると、HETPが小さくなり効率が良くなります。
最も効率が良くなる点がDで、このD点がローディング点になります。

しかしながらこのD点を超えると、急激に圧力損失が増加し効率が悪くなるため、D点で運転することはあまりなく、通常はC点の近くで運転するのが最も安定的です。

ローディング速度の実験式

ローディング速度を算出するための実験式として、大竹・木村の式が提案されています。

$$\frac{G^{2}}{2gρ_{G}^{2}D_{p}}=0.062(\frac{Gρ_{L}}{Lρ_{G}})^{0.41}(\frac{D_{p}L}{μ_{L}})^{0.15}(\frac{4.8}{a_{t}D_{p}})^{-2.5}$$

G:ガス流速(ローディング速度)[m/s]、L:液流速[m/s]、g:重力加速度[m/s2]
ρG:ガス密度[kg/m3]、ρL:液密度[kg/m3]、μL:液粘度[Pa・s]
at:単位体積当たりの充填物の表面積[m2/m3]、Dp:充填物の呼称寸法[m]

しかし、個人的にはあまりローディング速度を算出することがありません。
充填塔の設計においては、ローディング速度よりフラッディング速度を重視することが多いからです。

充填塔の運転も同様に、塔負荷の上限はフラッディングを意識することが多いです。