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化学工学 伝熱

熱交換器の性能悪化の原因【汚れ係数】を解説:主要流体の参考値も記載

2020年10月10日

概要

プラントで使用される流体は100%の純物質であることはなく、何らかの混合物という形で存在します。

混合物は溶媒に対して溶解度が高いものから低いもの、あるいはそもそも溶けておらずスラリー状になっているものまで様々です。
中でも溶解度が低いものやスラリー状のものはプラントの機器壁面に付着しやすく、トラブルの原因になることがあります。

プラント機器の中でも熱交換器は流体の温度変化により溶解度が変化することや伝熱管が細いことから汚れが付着しやすい機器です。

伝熱面表面に汚れが付着することで伝熱性能が悪化しますが、その度合いを汚れ係数r[m2K/W]で表現します。

$$U=\frac{1}{\frac{1}{h_{o}}+r_{o}+\frac{x_{l}}{k}+r_{i}+\frac{1}{h_{i}}}$$

ho:外側の境膜伝熱係数[W/(m2K)]、ro:外壁側の汚れ係数[m2K/W]
xl:材質厚み[m]、k:伝熱管の熱伝導度[W/mK]
ri:内壁側の汚れ係数[m2K/W]、hi:内壁側の境膜伝熱係数[W/(m2K)]

上式は総括伝熱係数の式ですが、汚れ係数が大きくなるほど総括伝熱係数Uは小さくなり伝熱性能が悪化することを表わしています。

汚れ係数の参考値

冷却水のようなプラントでよく使用される流体に関しては汚れ係数の知見があります。

冷却流体温度115℃以下115~205℃
冷却水温度52℃以下52℃以上
海水0.00010.0002
水道水0.00020.00035
湖水0.00020.00035
河水0.00050.0007
硬水0.00050.0009
蒸留水0.00010.0001
冷水塔0.00020.00035
"熱交換器設計ハンドブック"を参照

上表に各冷却水の汚れ係数[m2K/W]を示します。
熱交換器の冷却水としてよく使用されるのは冷水塔の水、もしくは河川水でしょうか。

アルコール蒸気0.0002
有機物蒸気0.0002
スチーム0.0001
冷媒蒸気0.00035
空気0.00035
"熱交換器設計ハンドブック"を参照

また、上表には各ガスの汚れ係数[m2K/W]を示します。
ガスは一般的に付着物が少なく汚れにくいイメージです。