概要
各成分の分圧の合計がその混合物の全圧となる法則のことをDalton(ドルトン)の法則といいます。
混合物の全圧をπ、第1成分の分圧p1、第2成分の分圧p2とすると
$$π=p_{1}+p_{2}$$
上式で表されます。
あるいは気相の各成分の組成をy1、y2とすると
$$p_{1}=πy_{1}・・・(1)$$
$$p_{2}=πy_{2}・・・(2)$$
と表すこともできます。
また、(1)、(2)式とRaoultの法則を組み合わせることで
$$πy_{1}=P_{1}x_{1}・・・(3)$$
$$πy_{2}=P_{2}x_{2}・・・(4)$$
(3)、(4)式を導くことができます。
(3)、(4)式からその系の全圧π、各成分の純物質蒸気圧P1,P2、各成分の溶液中のモル分率x1,x2がわかれば気相中の各成分の組成y1,y2を求めることができます。
この(3)、(4)式も多成分系に拡張でき、
$$πy_{i}=P_{i}x_{i}・・・(5)$$
i成分について上式が成り立ちます。
非理想溶液への拡張
Raoultの法則と同様に(5)式も活量係数を使用することで非理想溶液に適用できます。
$$πy_{i}=P_{i}x_{i}γ_{i}・・・(6)$$
π:全圧、yi:i成分の気相組成、Pi:第i成分が単独で存在するときの蒸気圧
xi:第i成分のモル分率、γi:i成分の活量係数
実務では非理想性の成分の組み合わせについては活量係数で補正した(6)式を使用し、理想系に近い組み合わせでは補正のない(5)式を使用することで使い分けています。
どんな系でも活量係数をかけて補正すればよいわけではなく、活量係数の精度が悪いと補正することで逆に実測値からずれる場合もあります。
そのため、活量係数での補正がちゃんと実測値と合っているか確認する作業が必要です。