概要
遠心ポンプ・圧縮機の運転中に、周期的な圧力変動が発生し吸込み側・吐出し側の配管で振動や騒音が起こる現象をサージングといいます。
ポンプ・圧縮機の異常運転現象の1つとして知られています。
吐出圧の高く動力の大きいポンプや圧縮機ほどサージングが発生したときの変動は激しく、危険な運転となります。
したがって、プラントの安全安定運転のためにはサージングを避けなければなりません。
この記事ではサージングの発生条件と防止法について解説しています。
サージングの発生条件
サージングは以下の複数の事象が同時に起こったときに発生する可能性があります。
ここではポンプのサージングを例に説明します。
H-Q曲線が山形特性
上図のようにポンプのH-Q曲線が右上がり勾配を持つ山形の曲線となっていることが要因の1つとして挙げられます。
通常の右下がり勾配領域での運転は、吐出し量が小さくなると揚程が大きくなるため系内の圧力バランスが取れるため安定した運転ができます。
しかし、右上がり勾配領域では吐出し量が小さくなると揚程も小さくなるため圧力が急激に変動し不安定な運転となります。
配管途中に気相溜まりがあるか、貯槽があること
吐出し側配管の途中に気体が溜まりうるスペースがあることが要因の1つとして挙げられます。
上図のような貯槽の気相部分や、配管中の気相溜まりが該当します。
気相溜まりの下流側にある弁で流量調整していること
上図のように気相溜まりの下流側にある弁Bで流量調整していることが要因の1つとして挙げられます。
これら3つの事象が同時に揃ったときにサージングが発生します。
サージングの防止法
前述した3つの要因が揃わないように防止することが重要となります。
3つの要因のどれか1つでも改善することができればサージングを抑制することができます。
H-Q曲線に右上がり勾配のないポンプを採用する
上図のようにH-Q曲線に右上がり勾配のないポンプを採用することでサージングを防止できます。
あるいは既設ポンプの羽根車の形状を加工することで右上がり勾配の少ない特性に変更することも有効です。
H-Q曲線の右下がり特性部分で常時使用する
ポンプの右上がり特性自体が改善できない場合は、右下がり特性の運転領域のみで運転できればサージングは起こりません。
とはいえ、系の流量自体はプロセスの要求性能から決まっていますから変更することは難しいかもしれません。
その場合には、上図のようにポンプの吐出し配管にバイパス配管を設けて余分な吐出し量を貯槽等に戻すことで、主流の流量を変えずにポンプの吐出し量を増加させることができます。
配管中の気相溜まりを取り除く
配管中に気相溜まりがあると考えられる場合には、流量を変更することで気相溜まりを取り除くことが有効です。
また、配管を若干上がり勾配で敷設することで、自然に気体が抜けるよう配慮することも考えられます。
気相溜まりよりも上流側の弁で流量調整する
上図のように気相溜まりのある配管や貯槽よりも上流側の弁Aで流量調整することで気相部の変動が起きにくくなりサージングを防ぐことができます。
まとめ
サージングの発生条件は3つあります。
- H-Q曲線が山形特性
- 気相溜まりがある
- 気相溜まりの下流側の弁で流量調整している
上の3つを全て満たすとサージングが発生してしまいます。
どれか1つでもいいので対処すればサージングを抑制することができます。