概要
P&ID(Piping and Instrumentation Diagram)はプラント設備の様々な情報を記載した図面です。
情報量が多いため、P&IDはいくつかの要素に分けて記載されることが多いです。(小規模なプラントの場合には各構成要素が省略される場合もあります。)
本記事ではP&IDの構成や概要について記載しています。
P&IDの構成
一般によくみられる構成を以下に示します。
レジェンド(Legend)
P&IDでは非常に多くの略称、略号等を使用するため、最初にそれらの定義が必要です。
また、配管等に番号を記載する必要がありますが、記載内容や順番は各社独自のルールで運用されていることが多いため、記載方法の定義も必要です。
このように、記号・シンボルの省略方法や情報の記載方法を定義する図面をレジェンド、もしくはリードシート(Lead Sheet)と呼びます。
よく見る記号は自然と覚えますが、たまにしか見ない記号もあるため、都度レジェンドに立ち返って確認するような使い方になります。
詳細は以下の記事で解説しています。
【P&IDレジェンド】について解説:略語・シンボル・定義等を記載
P&ID(Piping and instrumentation diagram)に記載する記号・シンボルの省略方法や情報の記載方法を定義する図面をレジェンド(Legend)、もしくはリードシート(Lead Sheet)といいます。会社によってP&IDの記載方法が微妙に異なるため、レジェンドをしっかりと確認して記号や略称の意味を把握することが必要です。
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P&ID(Piping & Instrument Diagram)
一般にP&IDといえば通常この部分を指します。
プロセスフローダイアグラム(PFD)をもとに、詳細な機器・配管・計装等の情報を追加した図面です。
レジェンドで定義した略称、略号をもとに記載されますが、それでも非常に多くの情報が載っています。
プラントや装置の設計段階だけでなく、建設、運転、保守などあらゆる場面でP&IDの情報は必要となります。
詳細は以下の記事で解説しています。
【P&ID】配管・計装系統図について解説:プラント設備の情報を記載した図面
P&ID(Piping and Instrumentation Diagram)は日本語で配管・計装系統図といい、プラントの製造工程を流れに沿って詳細に図示したものです。配管を含むプラントがある工場で働くにあたっては、P&IDから情報を読み取ることが業務上必要となってきます。
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連結図(Interconnecting Diagram)
複数装置間の連絡配管や計装設備を表示したP&IDです。
原料やユーティリティがプロセス装置、ユーティリティ装置、オフサイト設備等の設備間を跨って供給される場合に、設備の境界における連結関係を示す必要があり、この連結図が作成されます。
基本的には配管の線がたくさん載っている図面になります。
ヘッダー系統図(Header Diagram)
ユーティリティ(スチーム、冷却水、工業用水、海水、プラント空気、計装空気、窒素、燃料油、燃料ガス等)はパイプラック上に置かれた主配管(ヘッダー)から、配管を何本も分岐させて、プロセス機器に供給することが多いです。
このヘッダーと供給配管は機器の配置に依存します。そのため流れに沿って記載するP&IDとは別に、ヘッダーと供給配管を機器の配置に従って記載すると、配置関係が正確に反映できてわかりやすくなります。
この図面をヘッダ系統図、もしくは分岐系統図といいます。あるいはユーティリティのヘッダーを表示することが多いため、ユーティリティP&IDと呼ばれることもあります。
ベンダーP&ID
ベンダーが製作して納入するパッケージ機器は装置単体ではなく、複数の機器とそれらを接続する配管や計装から構成されています。
したがって、パッケージ内部のP&IDは通常、ベンダーによって作成されます。
パッケージ機器と他の接続を表わすP&IDでは、パッケージのシステム内部の詳細は表示せず、簡単な概要図程度が載っていることが多いです。
ユーザー側としては、パッケージ機器と他の機器との配管の接続や計装シグナルの計器室への接続を明確にする必要があります。
まとめ
P&IDの構成について解説しました。
レジェンドとP&IDが揃っていれば、必要な情報を読み取れるようになっているはずです。
連結図・ヘッダー系統図はプラントの規模が小さい場合は省略されることもあります。