概要
定常流れでは管路のどの位置においても質量流量は一定となります。この関係を連続の式といいます。
$$ρ_{1}A_{1}u_{1}=ρ_{2}A_{2}u_{2}・・・(1)$$
ρ1,2:流体密度[kg/m3]、A1,2:流路断面積[m2]、u1,2:断面平均流速[m/s]
連続の式は(1)式で表されます。
連続プラントにおいては、配管の断面積等から任意の位置で流速を計算できるため非常に便利な式です。
また、熱流体解析(CFD)を計算するうえでの基礎式の1つに連続の式が含まれています。
加えて、簡単に計算しやすいため、大学の試験や資格試験にも出題されやすい式です。ぜひ覚えておきましょう。
実プラントで連続の式が成り立たないケース
実務では配管内の平均流速を計算したり、あるいは測定流速から流量を計算するときに連続の式をよく使用しています。
ただ、計算しているとたまにおかしな数字になることがあります。
プラントでの液体の配管内流速は通常1~3m/sで設計されており、この範囲よりもワンオーダー以上ずれている計算結果になると流石におかしいのでは?と気づくわけです。
その場合には
・単純な計算のケアレスミス
・そもそも連続の式が成り立たない
以上の2点が考えられます。
計算のケアレスミスでなければ、あとは連続の式が成り立たない条件下にあることを疑います。
以下に、連続の式が成り立たない場合に考えられる原因をいくつか挙げました。
流量変動
連続プラントであっても、一時的に流量変動することはあります。
また、連続プラントの一部分だけは間欠的に流体を流すこともあります。
系内に蓄積する不純物を定期的に抜き出す場合等、排水・排液的な目的の場合が多いです。
このような流量変動があるタイミングや箇所では連続の式が成り立ちません。
流量計の動作不良
流量計が常に正しい値を示しているとは限りません。
可能性は低いと思いますが、動作不良となっている場合もありますので定期的に点検しましょう。
あるいは、流量計には測定する流体の性状や流量によって得意・不得意がありますので、適切な種類の流量計が設置されているかも確認しましょう。
配管分岐の見落とし
複雑なプラントでは配管が途中でいくつも分岐しています。
流体が流れている配管を1つ見落とすとそれだけで流量や流速がおかしな値となります。
ほとんどケアレスミスに近いのですが、割とありがちです。"この配管のバルブは閉まっているはず"、というような思い込みが引き起こします。
蒸発による液流量減少
液が蒸発して蒸気として他のラインに抜けていくことで液流量が減少し、連続の式が成り立たなくなります。
配管の間に熱交換器等の装置があり、明らかにエネルギーの受け渡しがある場合は見落とすことはないでしょう。
その一方で、液ヘッド分の圧力で液化していた流体が配管を上昇するうちに気化するような場合は見落としやすいので要注意です。
圧力変化と密度補正忘れ
配管の前後で圧力が変化する場合は、流体の密度も変化するため同様に補正すれば連続の式を問題なく使用できます。
ただし、流体密度の補正を忘れがちなので注意しましょう。
まとめ
流体力学における質量保存則である連続の式について解説しました。
実務でも使用する頻度は高いため、ぜひ覚えておきましょう。