論文紹介 蒸留塔

【論文紹介】充填物の材質によるファウリング調査

2020年7月16日

今回は充填塔のファウリングに関する研究を紹介します。

論文概要

CRYSTALLIZATION FOULING IN PACKED COLUMNS

D. GROßERICHTER and J. STICHLMAIR, Lehrstuhl fu¨r Fluidverfahrenstechnik, Technische Universita¨t Mu¨nchen, Munich, Germany, Trans IChemE, Vol 81, Part A, January 2003

蒸留塔の充填物表面に汚れが付着するファウリングは、分離性能の悪化や圧力損失の増加に繋がる深刻な問題です。

論文より引用

この論文では充填物の材質を変えて実験を行ない、ファウリングしにくい材質の調査を行なっています。

実験・解析手法

実験は大きく2種類に分かれています。

論文より引用

1つ目の実験は上図のように充填物を45°に固定して上から飽和食塩水を滴下し、横から空気を吹き付けることで充填物表面のファウリング度合いを調査しています。

空気のF-factorは1.0で実験されています。
材質はPTFE、ガラス、PP、鉄、セラミックスの5種類で実験しています。

論文より引用

2つ目の実験は上図のように充填塔を含むパイロットプラントで実験しています。充填塔を10セクションに分けて圧力を測定しています。

食塩水を動作流体とし、実験時のF-factorは1.0です。

論文より引用

使用した充填物は上図で、PP、鉄、プラスチック、ガラスを使用しています。

評価方法

充填物表面のファウリング量と充填塔の圧力損失で評価しています。

結果

それでは結果に移ります。

論文より引用

このグラフは1つ目の実験結果で、縦軸がファウリング量、横軸が実験時間です。
セラミックスだけが飛びぬけてファウリング量が多くなっています。

論文より引用

この図は同じ実験でファウリング量の平均値を取ったものです。セラミックスが一番ファウリング量が多く、PTFEが一番少ない結果となりました。

ファウリングに寄与する因子として材質の表面性状があります。セラミックスのような多孔質材は付着しやすく、鉄などの金属材料は表面がつるつるしているので比較的付着しにくいと言われています。

助手
ファウリングしやすいセラミックス充填物をわざわざ使うことはあるのですか?
セラミックスは耐薬品性が高いので酸やアルカリ性が強い系で使われることがあります。
セラミックス材を選定する場合は汚れやすい系かどうか確認する場合がありますね!
ルート
論文より引用

続いてパイロットの実験結果を示します。
Sulzer gauze packingの2種類が全体的に高い圧力損失となっており、ファウリングが激しく起こっていることがわかります。

textileの方が40m3/(m2h)以上の高液負荷で圧損が下がっているのは汚れが塔内から洗い流されたためだと述べられていました。

一方でSulzer Mellapakの3種類はどれも同じような傾向でした。
30m3/(m2h)以下は圧損が低く、40m3/(m2h)以上になると圧損が増加しました。

一番性能が良かったのはQVF Durapack glassで、この論文の実験範囲すべてで低い圧損を示しました。

助手
どうしてこのように圧損に差が出たのでしょう?
充填物の形状の差というよりは材質によるところが大きいと思います。

この論文からわかるファウリング量の傾向としては、
セラミックス > 鉄、繊維(textile) ≧ ガラス、PP、PTFE
となっています。

圧損だけみて充填物の材質を選ぶことはできませんが、判断材料の一つにはなりますね!
ルート

まとめ

ファウリングと材質は密接に関係があることがわかりました。
充填物選定の一助になればと思います。

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