論文紹介 蒸留塔

【論文紹介】充填塔のフォーミング調査

2020年9月9日

今回は充填塔のフォーミングに関する研究を紹介します。

論文概要

FOAMING EFFECT ON RANDOM PACKING PERFORMANCE

G. X. Chen, T. J. Cai, K. T. Chuang and A. Afacan, Trans IChemE, Part A, Chemical Engineering Research and Design, 2007, 85(A2): 278–282

蒸留塔のトラブル原因の一つとしてフォーミング(foaming)という現象があります。

蒸留塔内の液が泡立つことで圧力損失が高くなり運転不能になる現象で、発泡性の物質が液中に含まれていることが原因です。

この論文では蒸留塔でフォーミングが起きた際の圧力損失などの挙動を調査しています。

実験手法

論文より引用

上図に実験装置を示します。
メタノール-水を蒸留分離する装置です。フォーミングを起こすためにTriton X-100という界面活性剤を所定量添加しています。

塔径0.15m、充填高さ1.23m、充填物は不規則充填物であるPall ringを使用しています。

評価方法

界面張力、段効率、圧力損失で評価しています。

結果

それでは結果に移ります。

論文より引用

上の画像は液の性状を調査したものです。

0, 1, 5, 15%メタノール水溶液に界面活性剤を200ppm投入し、軽くせん断をかけて2h後の様子です。
すべての濃度でフォーミングが起こっていることがわかります。

論文より引用

続いて上のグラフは縦軸が界面張力、横軸がメタノール重量分率となります。

界面活性剤を入れない場合はメタノール分率が増加するにつれて界面張力が減少しています。

界面活性剤を投入すると、メタノール分率が20wt%以下の領域で小さい値を示しており、界面活性剤の効果が現れていることがわかります。

論文より引用

続いて段効率を示します。
縦軸が界面活性剤なしの平均段数で割って無次元化した理論段数、横軸にF-factorを示します。

界面活性剤なしの結果はおおよそ1.00程度の値を示しているのに対して、界面活性剤ありではF-factorが0.9付近で縦軸の値が0.10以下の値となっており、分離性能が急激に悪化しています。

論文より引用

続いて上のグラフは縦軸が圧力損失、横軸がF-factorのグラフです。

通常は界面活性剤なしの結果のように、F-factor≦2.0の範囲では圧損が徐々に増加していき、f-factorが2.0付近になると傾きが大きくなり圧損が急激に増加します。

しかし界面活性剤ありの結果ではF-factorが0.9付近で急激に圧損が増加し運転不能になっています。
したがってフォーミングによって運転可能範囲が狭くなっていることがわかります。

助手
どうすればフォーミングを防げるのでしょうか?
フォーミングそのものを防止するには、フィード液の組成を変えて発泡成分を少なくする、脱泡材を投入することが挙げられます。

しかし製品品質に影響するため、なかなかやりづらいと思います。

装置面で対応するにはあらかじめフォーミングする前提で塔径、充填高さに余裕をみて決めるのが無難でしょうか。

また、棚段塔の場合には充填塔に変更することでフォーミングが抑えられるかもしれません。
ルート

まとめ

フォーミングやファウリングなどのトラブルは体系化されていないので、調査するのも難しいですね。
セミナーなどで各メーカーのトラブル事例が紹介されることもあります。

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