論文紹介 蒸留塔

【論文紹介】トレイと充填物の組み合わせ

2020年6月7日

今回は蒸留塔に関する研究を紹介します。

論文概要

Study of packed sieve tray column in ethanol purification using distillation process

Ramadani et al. / Malaysian Journal of Fundamental and Applied Sciences Vol. 15, No. 1 (2019) 69-74

蒸留塔は一般的にトレイを使用する棚段塔と充填物を使用する充填塔に分かれます。
各々メリット・デメリットがあり用途によって使い分けられています。

本論文ではトレイの上にスチールウールを充填させて、トレイと充填物を組み合わせた場合に性能がどうなるかを調査しています。

実験手法

論文より引用

イメージを上図に示します。シーブトレイの上にスチールウールを充填させています。

論文より引用

充填させたスチールウールを上の画像に示します。金物洗いに使うスチールウールたわしのようなものを詰めた感じでしょうか。

6mol%エタノール水溶液を塔底のリボイラーにフィードし、エタノールと水を分離するテストを行なっています。リボイラーは100℃一定に保ちフィード液を加熱しています。

評価方法

バッチ操作で60min運転した場合の塔頂エタノール分率の経時変化で評価しています。

助手
エタノールの方が沸点が低いから塔頂のガスはエタノールが多くなるんですよね!
そうですね!蒸留塔がちゃんと機能すれば塔頂からはフィードの6mol%より高い濃度でエタノールが留出するはずです。
ルート

結果

それでは結果に移ります。

論文より引用

この図は経時変化で塔頂のエタノール分率がどのように変化したかを示しています。黒線がシーブトレイのみの結果で、これに対してスチールウールを3cm、または5cm充填した結果が赤線緑線になります。

黒線は60min後にはエタノール分率が約70%となっていますが、赤線は75%、緑線は90%まで増加しています。

スチールウールを充填すると分離性能が向上したと言える結果ですね。
ルート

この結果はスチールウールにより気泡が細分化されたためだと論文中で説明されています。

論文より引用

シーブトレイのみだと気泡が大きく、気液界面の面積が少ないですが、

論文より引用

スチールウールが充填されていると気泡が細かくなるため、気液界面の接触面積が増加し、分離性能が向上したと考えられます。

助手
トレイと充填物の組み合わせ、すごく良いじゃないですか!
うちの工場にある棚段塔も全部これに変えましょうよ!
確かに分離性能だけみると良くなっているんですけど、塔の圧力損失が増えてガスがちゃんと流れるか心配です。

論文では圧力損失を測定していないのでわかりませんが、もしシーブトレイのみと変わらない圧力損失で運転できるのであれば一考の価値がありますね!
ルート

まとめ

蒸留塔は充填物を詰めれば詰めるほど分離性能は向上しますが、圧力損失は増大するのでこれらのバランスが大事です。
世の中には様々な工夫がなされたトレイや充填物が存在するので、興味があれば調べてみるのもよいでしょう!

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