物性 論文紹介

【論文紹介】混合物粘度をNRTLモデルから推算

2020年6月24日

今回は物性推算に関する研究を紹介します。

論文概要

Applicability of NRTL Model for Prediction of the Viscosity of Alkanolamine + Water Mixtures

Sumudu S. Karunarathne Lars E. Øi, Faculty of Technology, Natural Sciences and Maritime Sciences, University of South-Eastern Norway, Norway Linköping Electronic Conference Proceedings. 2020, 170, 73-77. 

NRTL(Non Random Two Liquid)モデルは主に蒸留計算において気液平衡物性を算出するために使用されるモデルです。

この論文ではNRTLモデルで計算した過剰ギブス自由エネルギーをEyringの粘度式に適用することで粘度推算を行なっています。

解析手法

Eyringの粘度式を上に示します。上式のΔF*をNRTL式から求めています。

助手
なんだか難しい式ですね。
この式からどうして粘度がわかるんですか?
アイリングの粘度式はいくつかある理論式の一つです。液体を多数の空孔を持つ固体とみなしています。

液体が流動するときは空孔に粒子が移動し、化学反応のように一定以上のエネルギーを保持していないと移動できないと考えています。

上式はそのエネルギーの大きさ(ポテンシャル)が大きいほど移動しにくいため粘度が高く、ポテンシャルが小さいほど移動しやすいため粘度が小さいことを表わしています。
ルート

計算に使用した成分はMEA(monoethanol amine)+H2Oの2成分系と
AMP(2-amino-2-methyl-propanol)+MEA+H2Oの3成分系の2種類です。

評価方法

2成分系、3成分系それぞれの組成における粘度を実測値と計算値で比較しています。

結果

それでは結果に移ります。

論文より引用

上のグラフは2成分系の計算結果で、横軸がMEA分率、縦軸が過剰ギブス自由エネルギーのグラフとなります。

MEA分率が0と1の値のときは純物質なので縦軸の値がゼロとなっていますね。混合物になると理想溶液とのギブス自由エネルギーの差が出るために値がマイナスになっています。

論文より引用

上のグラフは3成分系のグラフで、横軸がAMP分率、縦軸が過剰ギブス自由エネルギーのグラフとなります。

横軸の範囲が狭いので傾向は読み取りづらいですが、ちゃんとマイナスの値となっていますね。

論文より引用

上の表が計算値と測定値を比較した際の相対平均偏差(AARD)を示しています。2成分系ではAARDが1.3%、3成分系では0.3%とどちらも良い精度で計算されていました。

論文より引用

上の図は2成分系の粘度の計算結果となります。実測値がプロットで点線が計算値となります。
混合物の組成が変わると粘度は非線形的に変化していますが、非常によく一致していることがわかります。

論文より引用

同様に3成分系の結果です。こちらも実測値と計算値が非常によく一致しています。

助手
Aspenで計算するときってあまり粘度を気にしたことがないんですけど、どんなときに使い道があるんですか?
確かに物質収支、熱収支を計算するだけなら粘度はそれほど重要ではありませんね。

粘度が特に重要になるのは流体の流れを考えるときです。

検討しようにも粘度データがないことがありますので、そういうときの粘度推算に使えるかもしれません。
ルート

まとめ

物性は実測値があればそれを使って計算するのが一番ですが、ないことも多いです。
そのようなときの物性推算方法として様々な手法を知っておくのは重要です。論文である程度妥当性が確認されていれば使いやすいですね。

【粘度】推算方法を解説:流体の流れやすさを示す指標

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