論文紹介 撹拌槽

【論文紹介】ディスクタービン翼の羽根角度を変更

2020年6月3日

今回は撹拌翼に関する研究を紹介します。

論文概要

Effect of disc-blade intercepting angle on mixing performance in a multiphase stirred vessel

Brazilian Journal of Chemical Engineering Vol. 36, No. 02, pp. 811 - 821, April - June, 2019 dx.doi.org/10.1590/0104-6632.20190362s20180268

この論文はディスクタービン翼に関する実験論文です。

ディスクタービン翼は本来ディスクに対して羽根が90°に取り付けられています。
この論文ではその取付角度θを30°~150°まで変えた場合に撹拌性能がどのように変化するか調査しています。

実験手法

論文より引用

上図のように羽根の取付角度θを変化させて実験しています。

助手
角度を変えた翼を何種類も用意するのは大変そうですね。
3Dプリンターで作成したと書いてありました。こういった新しい技術で実験が楽になるのは良いことですね!
ルート

評価方法

評価方法は主に

動力数Np
最低浮遊撹拌回転数Njs、
酸素移動容量係数KLaです。

助手
撹拌性能というならもっと混ざり具合がわかるような評価方法はないのですか?
シンプルなものでいうと混合時間ですね。脱色試験を行なって何秒で色が変わるか時間を測定します。ただ、今回のようなマイナーチェンジに近い実験条件だと混合時間にあまり有意義な差がない可能性もあります。
ルート

実験結果

それでは結果に移ります。

論文より引用


この図は各々の羽根角度における動力数Npを示しています。この図によると90°のときが最も動力が高く、30°もしくは150°に近づくほど動力が低くなっていることがわかります。

助手
動力って低い方が省エネだから良いんですよね?
エネルギーの観点だけで考えればそう言えます。ただし撹拌の場合、動力が低いとちゃんと混ざっていないとも解釈できます。なので一概に動力が低い方が良いとは言えないんですね。
ルート

次の結果は各々の羽根角度における最低浮遊撹拌回転数Njsを示します。

論文より引用

これを見ると70~80°のときが最も必要な回転数が低くなっています。

70~80°がNjsの値が小さく効率がいいのは意外な結果ですね。
ルート

ただディスクタービン翼は気液分散に使用されることが多いため、粒子分散の指標であるNjsに関してはあまり注目することがないのが実情です。

続いて酸素移動容量係数kLaの結果を示します。

論文より引用

30°、90°、150°と実験点数は少ないですがこの結果によると90°が一番値が高く良い結果となっています。

気液分散の指標であるKLaはディスクタービン翼にとって重要であるため、もう少しデータ点数を取って細かく調査してほしいですね。
ルート

まとめ

総合的にみると羽根の取付角度は90°が性能が良く、工業レベルで翼角度を変えるメリットはないように思います。
しかしこのような基礎研究が最近も行なわれているのはうれしい限りです。撹拌はなかなかマニアックな分野で人気があるとは言い難いですからね。

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