論文紹介 撹拌槽

【論文紹介】撹拌翼形状の晶析粒子径に与える影響

2020年6月18日

今回は晶析撹拌槽に関する研究を紹介します。

論文概要

Experimental studies in antisolvent crystallization: Effect of antisolvent ratio and mixing patterns

Aniket S Waval, Pooja Patel, Parag R Nemade, Channamallikarjun S Mathpati, Department of Chemical Engineering, Institute of Chemical Technology, N. Parekh Road, Matunga 400 019, East Mumbai, India

晶析操作は濃度や溶媒の種類をはじめとして様々な因子に影響されますが、その中でも回転数や撹拌翼形状などの撹拌条件は結晶径に大きく関係しています。

この論文では撹拌翼の形状や撹拌動力によって結晶径がどのように変化するか調査しています。

実験手法

論文より引用

実験で使用した撹拌翼を上図に示します。ハイドロフォイル翼(Hydrofoil)、ラシュトンタービン翼(RT)、45°傾斜パドル翼(PBT)の3種類です。

助手
どれも似たような形状ですね。どういう違いがあるんですか?

Hydrofoilは軸流型で下向きに流体を吐出します。プロペラ翼と似たようなフローパターンですね。

PBTは論文ではMixed flowと書いており、軸流と放射流の中間という意味合いで記述されています。一般的には斜流型と呼ばれています。

RTは放射流で真横に流体を吐出します。
そのため上図のフローパターンを見るとわかりやすいですが、翼より上側だけで循環する流れと下側だけで循環する流れに分かれています。


どれも微妙な違いに思えるかもしれませんが、意外に差があったりしますよ!

ルート

撹拌物は食塩水に貧溶媒としてメタノールを加えたもので、撹拌条件を変えて晶析させています。
貧溶媒の量を変える実験や超音波を照射する実験も論文中でやっていますが、今回は撹拌条件のみに絞って紹介します。

評価方法

平均結晶径及び結晶径分布で評価しています。

結果

それでは結果に移ります。

論文より引用

この図は撹拌翼の種類と結晶重量当たりの動力を変えて平均結晶径にどのような影響があるか調査した結果です。

どの撹拌翼でも動力が高くなるにつれて結晶径が小さくなっていることがわかります。
撹拌翼の種類でみると、Hydrofoil<PBT<RTの順番で結晶径が小さくなっています。

このような結果になる理由として液面に転化した貧溶媒の混ざりが異なることが挙げられています。

RTは翼の上下で流れが分断されてしまうため、容器の上部で貧溶媒の濃度が高くなってしまい、部分的に結晶化が促進されたと考えられます。

一方でPBTやHydrofoilは容器内を均一に混合する能力が高いため貧溶媒の濃度の偏りが少なく、結晶径が小さくなったと推察されます。

撹拌翼によるフローパターンの違いがよく表れている結果ですね!
ルート
論文より引用

この図は結晶径分布で比較した結果です。

PBTやHydrofoilは混合状態が良いため、シングルピークの結晶径分布になっています。

一方でRTは前述したように濃度に偏りが生じたため、ダブルピークの結晶径分布になっています。

助手
聞いている感じ、RTは撹拌性能が良くないですね。
用途が適していないだけですよ!

RTは気液分散に適した撹拌翼で、今回のような固液分散にはあまり適していません。
そのことを知らずに撹拌翼を選んでしまうと大変です!

ルート

まとめ

論文では混合面からRBTやHydrofoil等の斜流型や軸流型が良いとされていますが、固体粒子分散の点から考えても槽底の粒子を巻き上げて均一に分散させやすい軸流翼が適しています。

撹拌の目的、用途に合わせて撹拌翼を使い分けましょう!

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