論文紹介 吸収塔

【論文紹介】CO2ガス吸収塔の基礎特性調査

2020年8月28日

今回はCO2ガス吸収塔に関する研究を紹介します。

論文概要

Effects of operating and design parameters on CO2 absorption in columns with structured packings

Adisorn Aroonwilas, Paitoon Tontiwachwuthikul, Amit Chakma, Separation and Purification Technology 24 (2001) 403–411

規則充填塔は様々な分野に使用されており、ガス吸収にも数多くの採用例があります。

この論文では効率の良いCO2ガス吸収塔を設計するために、規則充填物で実験して基礎的なデータを取っています。

実験・解析手法

論文より引用

上図に実験装置を示します。

塔頂へNaOHもしくはモノエタノールアミン(MEA)をフィードし、塔底へCO2とAirの混合ガスをフィードしてCO2を吸収させています。

充填物はGempak 4A、Mellapak 500Y、Mellapak 500X、Optiflowの4種類を使用しています。

論文より引用

また、代表的にMellapak 500Yで充填物のエレメントの設置角度を変えてデータを取っています。

上図のように
(a) 90°ローテーション
(b) 45°ローテーション
(c) 0°ローテーション
でそれぞれデータを取っています。

評価方法

塔内ガス相のCO2濃度、CO2吸収量、物質移動係数KGaeで評価しています。

結果

それでは結果に移ります。

論文より引用

上のグラフは縦軸がCO2濃度、横軸が塔頂からの高さ(塔頂=0m)となっています。

塔底(塔頂から2.2m)からCO2濃度15%の混合ガスを供給しており、塔頂に近づくにつれてCO2が吸収されて濃度が下がっていることがわかります。

加えて、塔頂にフィードする液量を増やすにつれてCO2吸収量が増えて濃度が小さくなっています。

論文より引用

続いて上のグラフは縦軸が物質移動係数KGae、横軸が液負荷となっています。

どの充填物も液負荷が増加すると物質移動係数も増加しています。

充填物同士の比較では液負荷が増加するにつれて、Mellapak 500Yの物質移動係数が大幅に増加しており良い性能を示しています。

論文より引用

続いて縦軸が物質移動係数KGae、横軸に温度を取ったグラフを示します。
物質移動係数が35℃付近でピークを持つような傾向となっています。

助手
ガス吸収の場合は温度が低い方が吸収されやすいと聞いたので、ピークを持つ理由がよくわかりません。
物理吸収の場合は一般的にそのような傾向となります。

ですがこの論文で扱っているCO2のアミンへの吸収は化学吸収と呼ばれ、いわゆる普通の化学反応と同じです。

なので温度が高くなるにつれ反応速度が増加するので吸収効率が上がり、物質移動係数は高くなります。

しかしこの反応は可逆反応で、温度が上がり過ぎるとCO2の脱離反応(逆反応)速度の方が速くなってしまうため、物質移動係数が見かけ上低くなってしまう、と推察されます。
ルート
論文より引用

続いて上のグラフは充填物の設置角度を比較したもので、縦軸にCO2吸収量取っています。

90°ローテーション、45°ローテーションはそれほど差がありませんが、0°ローテーションは極端にCO2吸収量が少なく、吸収効率が悪くなっています。

私の会社では過去に充填の仕方が開放点検前と違っていたことが原因で能力が出なかったことがあります。

規則充填物の充填方法は特に要注意ですね!
ルート
論文より引用

最後にディストリビューターの液散布点を変えて実験した結果を示します。

散布点の数が255よりも1528の方が塔頂のCO2濃度が低くなっており、吸収効率がよくなっていることがわかります。

規則充填物は液が広がりにくいので、より均一に液を降らすことのできるディストリビューターを付けることは重要です。
ルート

まとめ

ガス吸収塔に関する知見を一通り知ることのできる良い論文です。
この論文は2001年のものですが、化学工学は未だに数十年前の文献が参考になったりしますね。

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