論文紹介 蒸留塔

【論文紹介】カーボンフォームで作成したラシヒリング充填物の性能調査

2020年8月15日

今回は充填物に関する研究を紹介します。

論文概要

Significantly enhanced vapor-liquid mass transfer in distillation process based on carbon foam ring random packing

Xingang Li, Xinwei Yang, Hong Li, Qiang Shi, Xin Gao, Chemical Engineering & Processing: Process Intensification 124 (2018) 245-254

近年、高強度で熱安定性が高いカーボンフォーム素材が注目されています。
この論文では従来のラシヒリング充填物をカーボンフォームで作成し、その性能を比較しています。

実験・解析手法

論文より引用

上図に使用した不規則充填物を示します。
カーボンフォーム(以下FRRP)、セラミックス(以下CRP)、金属(以下MRR)で作成した3種類のラシヒリングを使用しています。

この論文での実験は大きく2種類に分かれます。

論文より引用

上図に1つ目の実験装置を示します。
塔径300mm、充填高さ2000mmの充填塔を使用し、各充填物でそれぞれ蒸留実験を実施しています。

動作流体はn-ヘプタンとシクロヘキサンを使用しています。

論文より引用

2つ目の実験装置を上図に示します。
2つ目の実験では充填物の濡れ性を確認するために充填物1つを所定の角度で吊るし、上から蛍光液を滴下しています。

論文より引用

角度φや滴下位置を変えて実験を行なっています。

評価方法

HETP[m]、濡れ面積[%]、理論段数当たりの圧力損失で評価しています。

結果

それでは結果に移ります。

論文より引用

上のグラフは縦軸にHETP、横軸にF-factorを取って各充填物で比較したものです。

FRRPが最もHETPが小さく性能が良いことがわかります。

フラッディング点もFRRPはF-factor=約2.15で最も値が大きく、運転範囲が広いことがわかります。

論文より引用

続いて上の画像は充填物の設置角度を変えて実験した写真となります。
FRRPの実験結果ですが、どの角度でも液が充填物表面に広がっており濡れが良いことがわかります。

論文より引用

濡れ面積を数値化したグラフがこちらです。
縦軸に濡れ面積、横軸に設置角度を取っています。

MRRやCRRは設置角度によって濡れ方に大きく違いがあり、0.05~0.7%まで値が変化しています。
そのため実際の不規則充填塔ではあまり働いていない充填物があると考えられます。

FRRPはどの角度でも0.8~1.0%の高い濡れ面積を示しているため、不規則充填でも効率が良いと考えられます。

論文より引用

続いて滴下位置を変更した実験画像を示します。
上の画像の矢印の位置にそれぞれ液を滴下しています。

FRRPはlower feedの場合でも上側に液が広がっており、充填物表面がよく濡れています。

同様に濡れ面積で数値化したグラフを示します。

MRRとCRRはlower feedだと濡れ面積が極端に低くなってしまっています。

FRRPは画像で示したようにどのフィード位置でも高い濡れ面積を維持しています。

論文より引用

最後に縦軸が理論段数当たりの圧力損失ΔP、横軸がF-factorのグラフを示します。
FRRPが最も圧力損失が小さく、優れていることがわかります。

助手
なぜカーボンフォームのFRRPはこんなに性能が良いのでしょう?
金属やセラミックスだと充填物表面しか濡れるところがありませんが、カーボンフォームだと網目状の構造の中に液を保持でき、三次元的に空間を利用できています。

画像を見ると網目を伝って液が濡れ広がっているようですし、この構造が液ホールドアップに有効に作用していますね!

網目に汚れが詰まりやすそうなので、汚れやすい系には採用しにくいと思いますが、汚れにくい系には良さそうです。
ルート

まとめ

同じような充填物構造でも材質によって性能が大きく違う結果になっていました。
カーボン系は腐食にも強いので良い素材ですね。

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