熱交換器 論文紹介

【論文紹介】シェルアンドチューブ型熱交換器のバッフル形状調査

2020年8月3日

今回は熱交換器に関する研究を紹介します。

論文概要

Experimental thermal-hydraulic performances of heat exchangers with different baffle patterns

Jian Chen, Nianqi Li, Yu Ding, Jirí Jaromír Klemes , Petar Sabev Varbanov,Qiuwang Wang, Min Zeng, Energy 205 (2020) 118066

熱交換器の中でもシェルアンドチューブ型のものは工業的によく使用されています。

シェル側の流体の流れはバッフルの形状によって大きく影響されますが、きちんと調査された知見は少ないのが現状です。

この論文では5種類のバッフルを使用して伝熱性能と圧力損失を調査しています。

実験・解析手法

論文より引用

上図は熱交換器の中の構造を可視化したものです。

シェル側を流れる流体は円盤状のしきい(バッフル)で区切られた流路を流れます。
円盤の形によって流動状態が変わり、伝熱性能も変化します。

この論文ではセグメントバッフル、セグメント&ポアバッフル、ロッドバッフル、ポアプレートバッフル、トリフラワーバッフルの5種類のバッフルを使用しています。

論文より引用
論文より引用
論文より引用
論文より引用
論文より引用

上図に各バッフルの形状を示します。
熱交換器のシェル側に温水、チューブ側に冷水を流して実験して伝熱性能と圧力損失を測定しています。

評価方法

総括伝熱係数hs、圧力損失ΔPで評価しています。

また、上式のような無次元数の相関で伝熱性能を整理しています。

結果

それでは結果に移ります。

論文より引用

上のグラフは各バッフルの実験結果を無次元数の相関としてプロットしたものです。
どのバッフルもきれいに線形的な相関があります。

助手
化学工学って無次元数でまとめることが多いですよね!
無次元数できちんとした相関があると装置設計しやすいからです!

スケールアップしたときにどのくらいの能力が出るか、わからないような装置は導入しにくいでしょう。
ルート
論文より引用

続いてこのグラフは縦軸が総括伝熱係数hs、横軸が体積流量Vで各バッフルの結果を比較しています。
各バッフルで総括伝熱係数にかなり差があります。
最も伝熱係数が良いのはトリフラワーバッフルで、最も悪いのはロッドバッフルとなっています。

論文より引用

続いて縦軸に圧力損失ΔP、横軸に体積流量Vのグラフを示します。
圧力損失もバッフルによってかなり差があります。
最も圧力損失が低いのはロッドバッフルで、最も高いのはポアプレートバッフルとなっています。

論文より引用

最後にこのグラフは総括伝熱係数hsを圧力損失ΔPで割った値を縦軸に取っています。
縦軸の値が高いと、圧損当たりの伝熱効率が良いです。

結果としてロッドバッフルが最も効率が良い結果となり、次点でセグメント&ポアバッフル、もしくはトリフラワーバッフルとなっています。

助手
ロッドバッフルが一番性能が良いということなんでしょうか?
何に重きを置くかによって評価は違います。

省エネという観点でいうと圧力損失が低いロッドバッフルが良いのでしょう。
但し総括伝熱係数が他のバッフルより低いので、伝熱性能不足になる可能性もあります。

伝熱性能を重視するなら、総括伝熱係数が高いトリフラワーバッフルが良いかもしれません。

ちなみに私はトリフラワーバッフルが採用されている熱交換器をまだ見たことがないので個人的に気になります。
ルート

まとめ

バッフルの形状の違いで熱交換器の性能が非常に影響されることがわかりました。
その機器にどのような性能が要求されるのかきちんと把握して装置設計することが大事ですね!

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